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マレーシア航空機 突然の空中分解?おととしの接触事故で見えない亀裂

   乗員・乗客239人を乗せたまま行方がわからなくなっているマレーシア航空機の手掛かりは依然つかめていない。コックピットで何が起きていたのか。フライトシミュレーターを使い、レポーターの阿部祐二が元全日空パイロットで航空解説者の前根明氏と検証した。

緊急信号もハジャック信号もない謎

   前根氏は現役時代、マレーシア機が消息を絶った南シナ海を何度も飛んでいたベテランだ。異変が生じたのはクアラルンプールを離陸して約50分後の3月8日(2014年)午前1時半ごろ。離陸後50分という時間帯は、完全に水平飛行で自動操縦に入っていて、パイロットは何もすることがなく、リラックスしている状態で、「これからコーヒーでももらおうかというところです」という。そのリラックスしている時間帯になにか緊急事態が生じたのか。

   阿部「エマージェンシー(緊急事態)はどうやって出すんですか」

   前根「ためらうことなく、メーデー、メーデー、メーデーと3回繰り返します。これが国際的なルールになっています。メーデーより緊急性が低い時はパン、パン、パンと3回言って、管制塔に知らせます」

   ハイジャックなどで声が出せない時は、4つの数字を緊急信号として知らせる仕組みになっている。ベテランになれば、数字を見なくても3秒でできるそうだ。今回はこうした緊急事態の知らせはなかった。

上海空港で主翼先端損傷

   マレーシア機はUターンの可能性も指摘されている。前根氏は機体のトラブルで引き返すことについて、「たしかに北京まで5~6時間かけて飛んでいくより、クアラルンプールに戻った方が楽ですよね」と言うが、その連絡もなかった。

   また、この飛行機はおととし8月(2012年)、上海空港で接触事故を起こし片方の主翼先端を損傷していた。マレーシア航空はボーイング社が修理して安全性には問題なかったといっているが、前根氏は「ぶつかるといろんなところに衝撃が伝わって小さなクラック(ひび割れ)が入り、毎日飛んでいるうちに徐々に大きく広がっていく可能性がないわけではない」というが、今回はどうだったのか。

   前根氏が最後にあげたのが機内の電源が落ちた可能性だが、これはゼロではないという程度だ。海外にはテロを示唆する報道もあるが、推測の域を出ていない。

   司会の加藤浩次「まだ手掛かりはなにもないという状態ですね」