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<問題のあるレストラン>(フジテレビ系)
ちょっとカッコよすぎだった真木よう子!優しくて強くてかわいい・・・脚本・坂元裕二が描きたかった「女の中の女」

   真っ直ぐに「セクハラ」に取り組んだドラマが終わった。いろいろな事情を抱えた女たちが集まってレストランを開く話、というと、よくある設定のようだが、違うのはセクハラ、パワハラ、それに性的少数者差別と、問題が満載であることだ。パティシエのハイジ(安田顕)は女装の男なので、正確には女だけではないが、ハイジの心は完全に女だから、ドラマ全体が女子会のノリでじつに楽しそうだった。

目に余るセクハラ・パワハラ野郎・・・でも、世の中にはホントにいるよ

   中心になる田中たま子を演じる真木よう子がメチャクチャかわいい。仕事が好きで、優しくて、セクハラにあった友達のためには職を賭して抗議する。まさに「女の中の女」である。女たちが周りに集まって一緒に仕事をしたくなるのも当然だ。脚本の坂元裕二は、たま子によって「理想の女」を描いてみたのだろう。ただ、あまりカッコよすぎて、彼女自身の悩みが感じられず、人間というより天使みたいではある。

   出てくる男たちは、ろくでもないセクハラ野郎ばかりだ。社長の雨木(杉本哲太)の憎たらしいこと。同僚をかばって過失を認めた女子社員の五月(菊池亜希子)を会議室に呼びつけ、謝罪させるのだが、「裸になって謝るのがうちのやり方だ。男も女もない」と、男たちがコの字に居並ぶ中で裸にさせる。

   部下の西脇(田山涼成)は「通勤電車で女性と密着するのが若さの秘訣」と言ってはばからず、社内でも女子社員を触りまくる。女は触られるときれいになるし、ほんとは女自身も嫌がっていないと思っている化石のようなスットコドッコイである。土田(吹越満)も「30過ぎて働く女は負け犬だ」とうそぶくいまどきありえないようなバカ男だ。

   こういう男たちに迎合することで生き抜く戦略をとる女も出てくる。女に嫌われるのを承知で「女の価値は男にどれだけ貢がせたかで決まる」とか言う「アタシはいつも心に水着を着てますもん」女の藍里(高畑充希)である。しかし、こざかしい浅知恵は、ただのダメ男や勘違いしたストーカー男を引き寄せるだけ。たま子たちの前で自分のやり方を得々としゃべりながら間違いに気づいてゆくシーンは、痛々しくて涙が出た。

「女性が輝く社会」掲げる安倍首相も見てたかな!?

   これらの男たちは戯画化されているけど、こんな本音を隠した男たちは現実にも結構いそうだ。何しろ、2014年における世界男女平等ランキングでは、日本は142か国中104位だからなあ。「女性が輝く社会」を成長戦略に掲げている安倍首相はさぞ口惜しいに違いない。もし自民党にこういう国策に反する考えを持った議員がいたら、率先して除名するぐらいの勢いでがんばってもらいたいです。

   なお、あんまりひどい男ばかりではというのか、東出昌大と菅田将暉の若手さわやかイケメンが出ているけど、大筋には関係なし。ただ、セクハラ社長を訴えようとする恋人を支える男(風間俊介)の登場が救いだ。彼こそ「男の中の男」だろう。

   あ、そうだ。レストランの看板メニュー「厚切りベーコンのポトフ」がとっても美味しそうだったので真似して作ってみたら、美味しかったよ。(木曜よる10時~)

カモノ・ハシ