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世界が恐れるダブルショック「中国経済崩壊」「アメリカ金利引き上げ」今週末ヤマ場

   中国発の世界同時株安で各国に経済不安が広がっている。一時値を戻したとはいえ、東京株式市場は不安定な動きで、中国株式市場の代表的指数「上海総合指数」も6月(2015年)の最高値から40%近く下落している。世界に不安が広がっている原因の一つが、「中国の実態経済が不透明なこと」(富士通総研・朸隆主席研究員)だ。

「中国実態経済の不透明」で不安拡大

   製造業が集積する東莞市(広東省)では、この1年だけで4000社以上が倒産したとも言われるが、詳しいことがわからない。オーストラリアは鉄鉱石輸出量世界一で、76%は中国向けだ。「リオ ティント」社はその最大手だが、今年上半期の利益が去年同期と比べ8割近く減っている。「資源価格の下落で資源会社の倒産が相次いでいます。われわれとしては極力コストを抑え、耐えるしかないのです」(リリーマン上級役員)

   「この10年間で中国への輸出量を2倍に伸ばしてきた」と言われるインドだが、綿糸会社はこの1か月で取引先中国企業10社のうち8社から「需要が減ったので商品を送らないで欲しい」と通告された。サラーフ会長は「とても混乱していて先行きは真っ暗です。このまま改善しないと工場を閉鎖しなければなりません」

FRBに各国から「利上げ待った」

   各国が恐れているのは、中国経済後退にアメリカの金利引き上げが追い打ちをかけるのではないかということだ。先週末(2015年8月29日)に開かれたFRB(米連邦準備制度理事会)のシンポジウムで、各国から「利上げ待った」の声が相次いだ。インド準備銀行のラジャン総裁はこう話す。「アメリカは世界市場の混乱が収まってから利上げに踏み切るべきです。その点をアメリカが考慮すると期待していますし、それが正しいあり方だと思います」

   国谷裕子キャスターが第一生命経済研究所主席エコノミストの西濱徹氏に「日本経済への影響」を聞いた。西濱は「中国の景気減速で中国向けはもちろん、アジア向けの輸出も落ちています。両建てで落ちているという深刻な状況です」

   国谷「米国は利上げをどう判断するでしょうか」

   西濱「中国の景気減速とアメリカの利上げが同時に来ると、非常に問題が大きいと思います。しかし、FRBはいまは『アメリカの中央銀行であって世界の中央銀行ではない』というスタンスを取っています。一番注目しているのは今週金曜日(9月4日)に発表される8月の雇用統計です。ここで雇用の環境が良くなっていれば、利上げという可能性も十分に考えられます」

   東京株式市場の下落、円高傾向で「アベノミクス」の行き詰まりはいよいよはっきりしてきた。これに対する解説がなかったのは残念。

ビレッジマン

*NHKクローズアップ現代(2015年8月31日放送「中国経済減速どこまで~『世界同時株安』の衝撃~」)