2024年 4月 23日 (火)

野放し!「生体肝移植」5人死亡の神戸メディカルセンターも「手術続ける」医療産業化で利益優先

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   重い肝臓病の患者を救う治療として、健康な人の肝臓の一部を使う生体肝移植手術を行った神戸国際フロンティアメディカルセンター(KIFMEC)で、患者9人のうち5人が術後1か月以内に相次ぎ亡くなる事態が起きた。

   神戸市は「医療産業都市」を目指していて、これまでに先端医療を担う研究施設に企業700以上進出し、今年度(2015年度)の経済効果は1615億円と予測している。その中核のひとつが、生体肝移植の世界的権威といわれる田中紘一医師を理事長に据え、昨年(2014年)に発足したKIFMECだった。海外からの患者受け入れを前面に打ち出し、生体肝移植手術を受けた9人のうち4人はインドネシアの患者だった。

   問題は9人の患者のうち5人が1か月以内に死亡するという生存率の低さだ。生体肝移植は全国の主要病院でも行っているが、1年後の生存率は83%で、KIFMECは異常に低い。9人の手術はすべて田中医師が執刀していた。

日本肝移植研究会の調査報告「3人の命を救えた可能性が高い」

   なぜ5人も亡くなったのか。生体肝移植の専門医で構成する「日本肝移植研究会」は今年4月(2015年)、4人目が亡くなった時点で異例の調査を実施し、「病院が適切な対応をしていれば3人の命を救えた可能性が高い」として、体制の不備などを理由に病院側に手術の中止を求めた。ところが、病院側はこれを無視して手術を続行、さらに患者1人が死亡する事態になった。

   研究会の報告書によると、1歳未満の男の子の手術では、必須とされた顕微鏡を行っていた。田中紘一医師は「クローズアップ現代」の取材に「顕微鏡を使わなくても手術はできる」と語った。

   学会の基準に照らして、手術をすべきではなかったと指摘した事例もあった。4歳の男の子は肝臓以外の臓器に進行性のがんがあり、健康な人の肝臓の一部を移植しても命を救えないことから、生体肝移植は適さないとされているのに手術は行われ、男の子は1か月後に亡くなった。これにも田中医師は「基準にしばられると移植を求める患者の希望に応えられない」と主張している。研究会幹部は「健康な人の体にメスを入れる生体肝移植は厳しい基準で行われるべきだ」と反論している。

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