警視庁機動捜査隊(通称キソウ)の里見偲(松坂桃李)と先輩の猪熊夕貴(木村文乃)は相棒なのだが、実は恋人同士でもある。そのことがバレるとどちらかが異動になるため、職場では秘密にしている。原作は漫画雑誌「モーニング」に連載されていた山崎紗也夏のサスペンス漫画だ。
『彼』の松坂も『彼女』の木村もコンビネーションばっちりのお似合いカップルで、シャワーシーン(松坂)やソファーでのラブシーンなど体当たりで頑張っているのだが、残念ながら『完全悪女』の橘カラを演じる菜々緒のシリアルキラーっぷりが凄すぎて霞んでしまう。
ポスターに「その日、僕の恋人は『獲物』になった」と書かれていることから、木村が菜々緒のターゲットになるのはわかっていたが、菜々緒が木村を見つめる何とも言えない目つきにゾワリ。目的のためには手段を選ばずでターゲットに近づく手口にゾワリ。顔色も変えず淡々と人を殺してしまうところにゾワリ。ゾワリのオンパレードで、菜々緒に釘づけになった。
菜々緒は沢尻エリカ主演ドラマ「ファーストクラス」以降、auのキレると怖いツンデレな乙姫さまやら、「スカッとジャパン」の悪女教師やら、すっかり悪女づいているが、今回はその極致。見事な悪役っぷりにすっかりハマってしまった。
刑事ドラマということで、『2時間ドラマの帝王』船越英一郎が刑事課長役で出演していて、さすがにツボにはまっている。最近は2時間ドラマも停滞しており、新境地開拓といったところか。
夕貴の養父・猪熊文一(大杉漣)は娘と交際しながら挨拶に来ない里見を不満に思っているが、娘に婦警と不倫していた過去を持ち出され強く出ることもできない。微妙な父親をうまく演じていて、この父娘のシーンは、殺人事件などエグい場面が多いなかでほっこりする場面でもある。
ターゲットを追い詰めていく菜々緒の眼力とその手口に注目しながら、秋の夜長はサスペンスドラマで楽しむ。(火曜よる10時~)
くろうさぎ