2024年 4月 20日 (土)

「人口急減」歯止めをかけろ!日本8000万人時代・・・村民365人の新潟・粟島の生き残り戦略

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   50年後には日本の人口は約8000万人と推定されている。国はなんとか1億人を維持したいと、昨年4月(2015年)に「地方版総合戦略」の策定を地方に求めた。自治体ごとに人口減少に歯止めをかける戦略を練ってもらい、独創的なアイデアには最大で8000万円の交付金をつけるというものだ。その締め切りが2か月半後に迫っている。

   国はこれまでにも、ふるさと創生や地方活性化などの策を講じては失敗してきた。今回は、キャリア官僚や大学教授、民間コンサルタントなど地方再生に詳しい専門家69人を選び、求めに応じて市町村に派遣してきた。その結果、昨年10月末までに戦略策定を追えた自治体は43%にのぼっている。

10年後には40歳未満の女性2人

   人口365人、日本海に浮かぶ新潟・粟島浦村には昨年4月、三菱UFJリサーチ&コンサルタント主任研究員の阿部剛志が派遣された。「島にはどうせ消滅するんだと思っている人もいます。だけど、僕は少なくともこういう地域がこの国のなかでいっぱい残っていてほしいと思っています。喜んで身を粉にして仕事をしたいです」

   阿部は当初からこう思っていた。しかし、現実はそう簡単ではなかった。10年後の2025年には20~39歳までの成人女性はわずか2人だけになると推定されている。冬は大陸からの寒風にさらされて海は荒れ、1週間も船が欠航して郵便物や貨物が届かないのは当たり前だ。夏に海水浴客でにぎわうのを生かした民宿が基幹産業だが、最盛期に70軒あったのが今は33軒に減っている。ほかに産業といえば豊富な竹林を生かした竹炭製品ぐらいである。

   阿部が目をつけたのは、3年前に新潟市から移住してきた青柳花子だった。青柳は保育士だが、観光船の乗務員などさまざまな仕事を経験し、民宿を手伝うほど島に惚れ込んでいる点に期待した。その青柳が提案した再生への戦略が「1泊2000~3000円の長期滞在型の格安ゲストハウスを作って島の暮らしを満喫してもらい、住民とマッチングできたときに島は変わっていくのではないか」という構想だった。

   しかし、基幹産業である民宿を営む住民たちから強い反発が上がった。民宿はどこも1泊7000円止まりが約束事で、客を奪い合わない知恵だ。住民は「みんな親せきみたいなもので、努力して和を保つほうに事を運ばないといけない」と話す。格安のゲストハウスができれば共倒れしかねないと懸念するのは当然で、計画の見直しが迫られた。

   地方版総合戦略の締め切りまで残り4か月を切った昨年末、青柳は計画を手直しした。宿泊料金は民宿に順ずるなど島のルールに従い、運転資金も国の交付金に頼らず、自前で調達することに決めた。厳しかった島の空気も変わってきて、村の正式な事業計画として認めてもらった。

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