2024年 4月 20日 (土)

アスベスト「検査偽装」横行!カネかかるから手抜き・・・あなたの周りで超高濃度発がん物質

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   アスベストが社会問題になったのは11年前だ。尼崎市にあった工場周辺で中皮腫などの死者が70人を超えていた。国は対策を講じたが、飛散の元凶の建物の解体は12年後がピークという。

   アスベストは安価で優れた耐火性、保温性から高度成長期に大量に使われたが、発がん性、毒性が強く、吸い込むと長い潜伏期間を経て中皮腫や肺がんを起こす。中皮腫は発症すると2年後の生存率は3割と低い。今も毎年1400人が亡くなっている。

   国は自治体の検査を軸とした除去手順を決めたが、その後も自然状態の1000倍から数千倍という高濃度飛散がこの10年で11件も起きた。NPOの調査では、他にも50倍超の飛散が53件あるという。なぜなのか。

バレても罰金50万円!「ウソついたもん勝ち」

   NPO東京労働安全衛生センターが訪れた2階建住居の解体現場では、重機が粉砕作業をしていた。業者は「アスベストは入っていない」というが、破片を分析したらアスベストだった。建材に含まれていたのを見過ごしたのだ。粉塵が近隣の車の屋根に積もっていた。

   国が定めた手順は、事前調査でアスベストが見つかると、解体業者は自治体に届け出て、検査を受けた上で厳重な密閉作業になる。厳密にやるとコストは2倍以上になる。これを嫌って、形だけを整えた「偽装」が横行している。

   NHKが全国の158の自治体にアンケートした結果では、解体前に検査をしているのが64.5%、解体中に検査しているのが13.5%だった。法律では自治体は業者を検査する権限はあるが、従わせる義務はない。ために対応は自治体によってまちまちだ。人手不足もあって実態は業者任せ。「バレなければいい」。監視機能は弱く、不正を完全には防げていない。

   多くの患者を診てきたNPO中皮腫・じん肺・アスベストセンター所長の名取雄司医師は、「規制が弱い。突然立ち入りしないと実効が上がりません。業者はコスト優先だから、性悪説でいかないと」と話す。

   イギリス、アメリカ、オーストラリアなどは、第三者機関の立ち入りや厳しい罰金、業者の登録抹消などを行っている。日本では勧告を受けて直さない時に罰金が課されるが、「50万円くらいですから」という。コスト優先になって当然だ。

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