金持ち向け医療?「患者申出療養制度」4月スタート!全額自己負担で先進治療

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   健康保険適用の対象ではないが、一定の安全性や有効性が確認されている先進治療を患者本人の申し出で受けられる「患者申出療養制度」が4月(2016年)からスタートする。費用は全額自己負担、治療を受けるためには国の審査をクリアするのが条件だが、この先進治療と通常の保険診療を組み合わせた混合診療の範囲が拡大され、患者にとって選択肢が増えるのは朗報と言える。

   ただ、自己負担額が高く、金持ち専用の制度になりかねないこと、治療が安全で有効かを誰が判断するのかが曖昧で、患者の悩みや不安は大きい。

未承認抗がん剤の薬代だけで1か月100万円

   「命が少しは繋がるかもしれない」と、新制度に期待しているスキルス胃がんの男性患者(54)は、保険で認められている抗がん剤による治療を受けているが、進行が速く、すでに最も進行しているステージ4だ。男性が悔しがるのは、がんが胃壁に広がり、治療が難しい段階になってから腹腔内投与という先進医療を知ったことだった。抗がん剤を口や点滴で投与するのではなく、胃に直に投与する。男性が当初通っていた病院ではこの腹腔内投与は行っておらず、治療法があることも知らされなかった。

   先進治療は将来、保険で広く使われるようにする保険収載を前提に、国が認めた医療機関でのみ行われ、患者の対象も限定されている。この男性患者のように、抗がん剤治療を受けている患者は、腹腔内投与の対象から外されていたのだ。

   患者申出療養制度の開始を2か月後に控えた2月上旬に男性患者は国立がん研究センターを訪れ、医師に腹腔内投与の相談をした。医師は「理論的にはできると思います。ただ、ラムシルマブ(抗がん剤)と腹腔内投与を併せて安全にできるかどうかは明確に分かっていません。こちらも責任を持ちますが、患者側もしっかり考えて選んでください」と説明した。

   センターの企画戦略局長の藤原康弘医師は「(患者は)新しいものはいいものだと思ってしまいますが、これはチャレンジ、冒険」だという。センターが日本では未承認の抗がん剤をリストアップし、1か月の薬代を試算したところ100万円をはるかに超えるものばかりだった。高額な自己負担と曖昧とした安全性、有効性・・・男性にとって何が一番適切な治療法なのか、限られた時間のなかで悩みが尽きない。

国が一人ひとり審査・・・適用はかなり限定的

   国谷裕子キャスター「気になるのは高額な自己負担です。ひと握りの金持ちしか利用できないのではという懸念もあります」

   日本医療政策機構エグゼブティブディレクターの宮田俊男医師は「コストの負担はまだ調整ができていません。自己負担をどうするか、今後の大きな課題になるでしょう」と話す。 国谷「患者の意思で治療を申し出ても、ふるいに掛けられて限定的になるのか、幅広く認められるのか、どうでしょうか」

   宮田医師「結論から言えば、かなり限定的になると思いいます。患者からの申し出で国が審査する場合、2~6週間で決めていくことになります。10人ぐらいの専門家が朝から晩まで審査していくことになります」

   全国からの先進治療の申し出を一つひとつていねいに審査していけるのかどうか。先進医療の保険収載が前提である以上、端から厳しい基準でふるいに掛けられる可能性がある。

*NHKクローズアップ現代(2016年2月24日放送「私の望む治療、受けられますか?~広がる『混合診療』の行方~」)

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