<不屈の男 アンブロークン>
反日映画か、歴史の真実か・・・アンジェリーナ・ジョリーが惚れたMIYAVIのオーラと肉体

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(C)2014 UNIVERSAL STUDIOS
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   日本軍の捕虜虐待シーンがあまりにも「反日的」だと非難され、日本での公開が危ぶまれたこともあった。演出・プロデュースを担当するのは監督2作目となるアンジェリーナ・ジョリーである。

   主人公・ルイに異様な執着心を燃やす収容所所長・渡辺睦裕役に起用されたのはMIYAVI。世界を舞台に活躍するギタリストだ。「美しく造形された知的で明敏な怪物として描きたかった。光り輝いてそびえるような人を求めました。ミュージシャンとして舞台映えし、肉体的にも鍛えられたMIYAVIはまさに虐待者とは対極でした」とアンジーは語る。

長野五輪・聖火リレー走った元米軍捕虜の「汝の敵を愛せよ」

   「事実に基づく物語」とテロップが出る。1936年のベルリン・オリンピックの5000メートル走で日本人選手と競い合ったアメリカのルイ・ザンぺリーニは、幼少期、教会で「汝の敵を愛せ」と説教され、「僕にはできない」と呟くシーンがある。これがラストの「伏線」になっている。

   ルイは空軍爆撃手として太平洋戦線に投入され、不時着して救命ボートで47日間も漂流する。日本軍に見つかり捕虜として東京の大森収容所に送られる。その収容所所長が渡辺伍長だった。渡辺は「お前は私と同じで意志が強い」とシンパシーを持つが、それ故にライバル心も強い。捕虜たちにルイを殴らせたりした。

   そして、渡辺はこう告げる。「お前にいい知らせと悪い知らせがある。よい知らせは私が昇進したこと。悪い知らせは私がここを去るということだ」

   東京は空襲が激しくなり、ルイたちは新潟・直江津の収容所に移される。そこの収容所所長は渡辺だった。あるとき渡辺は大きな枕木をルイに持たせ、部下に「あれを落としたら撃て」と命じる。ルイは耐え、叫び声を上げながら枕木を高く持ち上げた。そして、憐憫の眼差しで渡辺を見つめる。あたかも受難のイエス・キリストのように。ルイの「勝利」だった。

   夏の暑い日、捕虜たちは看守から「停戦になった」と告げられ、川へ連れて行かれる。処刑する気なのか。

53年ぶりの平和な日本、沿道の喝采!「人生で最も誇らしい瞬間だった」

   エンドロールで1998年、ルイが80歳のときに長野オリンピックの聖火ランナーとして走ったシーンが映し出される(実際のニュース映像)。沿道の日本人からの喝采を浴び、微笑みながら走っている。53年ぶり日本だ。ルイはアンジーに「日本で聖火ランナーとして走ったのは人生で最も誇らしい瞬間だった」と話したという。

   渡辺役のMIYABIの「演技」というよりも「存在感」に圧倒された。生きていくのに大切なのは敵に「復讐する」ことではなく、敵を「赦す」ことなのだと教えられる映画だ。

佐竹大心

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