2024年 4月 20日 (土)

「退職追い込みビジネス」首切りで稼ぐ人材会社・社労士!国からリストラ助成金60万円

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   業績が好調なのに、突然、人事部から戦力外通告を受ける新たなリストラが産業界で広がっている。リストラ策を企業に提案しているのは、本来なら従業員に就職先を支援する人材会社や労務管理・社会保険の相談や指導を行う社会保険労務士である。提案に飛びついた企業は、リストアップした社員を人材会社に通わせ、新たな就職先を開拓するように指示する。

   背景にあるのは安倍首相の進める労働移動支援策で、促進する企業への助成金の適用範囲を拡大させ、それを狙って退職ビジネスが横行しているのだ。

いま辞めるか、人材会社で別の勤め先探せ

   衆院予算委員会でもリストラが問題になった製紙業界最大手・王子ホールディングのグループ会社に勤めていた40代男性社員は、人事部から「話がある」と呼び出しを受けた。その時の様子が録音されていた。人事部担当者はいきなりこう言い出した。「わるいけど活用できる人材になるかというと、なかなか。(会社に)残っていても大変だね。外に出ていくことを真剣に考えてもらいたいな」

   男性社員は子どもがまだ中学生で、教育費や生活を考えると退職には応じられないと伝えると、こんな言葉が返ってきた。「応じない場合は、人材会社に通ってもらう。君の仕事は人材会社に通って別の仕事を探すことだ」

   会社が提示したのは、雇用保険がすぐ下りる「会社都合」による退職という条件に加え、退職金の割り増しと再就職先を支援する人材会社への費用負担だった。結局、男性社員は退職に追い込まれた。「6年連続黒字なので、何でなのかと、まったく納得がいかなかった」と男性社員と悔しそうだ。

   この会社のリストラ推進の裏には大手人材会社による提案があった。「テンプスタッフ・キャリアコンサルティング会社」(東京港区)で、同社が王子グループ会社に持ち込んだ提案書の表紙には、「貴社人員適正化施策のご提案~リストアップ方式による戦力入れ替えのお勧め~」とあった。王子グループ会社向けには、「業績回復基調の時こそ、退職金を割り増しするなどして円満な合意退職を進めることが有効」と書かれている。

   企業が第三者の提案でリストラ策を進める動きは、「すご腕社労士の首切りブログ~モンスター社員解雇のノウハウをご紹介!!」というブログ投稿でも問題になった。愛知県社会保険労務士会のブログだが、ここで「社員をうつ病に罹患させる方法」を紹介していた。国はこの社労士会を「不適切な内容があった」として3か月の業務停止処分にしている。

アベノミクスが進める「解雇しやすい労働政策」

   退職ビジネスが広がっている背景には、安倍首相が進めるアベノミクス3本の矢にある「雇用維持から労働移動支援へのシフト策」がある。安倍首相は13年8月の産業競争力会議で、「成長産業へ失業なき円滑な労働移動を図っていきます」と述べ、労働移動支援助成金の適用範囲を拡大させた。

   企業がリストラした社員の再就職先を人材会社に委託し、一定期間内に再就職が実現すれば国から上限60万円が企業へ支払われるのだ。最終的に助成金は人材会社に流れる。人材会社がリストラを会社に提案し、利益を得るマッチポンプが平然と行われているのだ。さすがに国も、今後は離職を促したケースは助成金の支給はしない方針という。

   番組には2人のゲストが出演したが、久保田祐佳キャスターの「今回のリストラのケースどう思いますか」という問いに意見が割れた。タレントでIT企業役員の厚切りジェイソンは「日本の社員は守られ過ぎている。業績が良くても、将来は変わってくるので、自分で将来の正しい投資先を自分で練る自由が必要だ」という。

   中央大学の宮本太郎教授は「人から仕事を引き離すのはどうなんでしょうか。本当に会社のためになっているのかなと思いますね。お神輿の法則というのがあって、本当は誰かがしっかり担いでいて誰がぶらさがっているのか。結構、上司がぶらさがってエイヤって掛け声を掛けている。

   日本の職場はまだ村的なコミュニティーが残っていて、村から排除しようとするんです。日本の悪いところとアメリカの解雇自由の悪いところを取り入れてしまっている。これでは職場は疑心暗鬼になってしまいますよ」

   日本の24倍の国土を持ち資源が豊富なアメリカと、人材だけが資源の日本とでは仕事のやり方も慣習も違う。アメリカの雇用形態をそのまま移入しても害多く益が少ない。

モンブラン

NHKクローズアップ現代(2016年4月13日放送「『新リストラ時代』到来!?業績好調なのになぜ」)

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