灰皿投げに隠したシャイな素顔・・・スター演出家になっても最後まで心残りだったか?アングラ時代
<蜷川幸雄訃報報道>(各局)

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   有名演出家にして文化勲章受章者の訃報だから当然だが、アイドルタレントを演技派の舞台人に育てたという点で、格別華やかな報道ぶりだった。言わずもがなの開成高校出身者、頭脳は抜群に良かっただろうが、筆者が何度も見た彼の映像での俳優ぶりは大根役者そのものだった。特に時代劇が下手くそだった。太地喜和子が「お願いだから俳優は辞めてくれ」と言ったはずである。
   浅丘ルリ子主演の帝劇舞台で、いきなり画面一杯にテレビのブラウン管が何台も出てきた時、蜷川は批判もされたが商業演劇が好きなのだと思えた。スペクタクル好きともいえる。だが、難解な「ザ・コースト・オブ・ユートピア」をシアター・コクーンで見た時は、彼にはやっぱりアングラ時代への心残りがあるのかとも思った。
   帝劇の帰りに西銀座デパート(当時)の地下通路で、蜷川が公衆電話をかけているところに行き当たった。思わず「素敵な舞台でした」と声をかけると、いたくはにかんだ笑顔で「有難うございます」と返してきた。シャイなインテリそのものだった。だから、訃報の映像で「灰皿を投げる。怒鳴り散らす」場面ばかり見せられて、「ちょっと一面的すぎる」と思った。
   東京藝大を出て画家になりたかった蜷川が、商業演劇のスター演出家で有名になって、果たして心から幸せだったのか筆者は疑問に思っている。美貌アイドルの肉体を借りて自分の描きたかった絵を表現したのかもしれない。合掌。(放送2016年5月17日)

(黄蘭)

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