ペットブームの闇で繁盛する「引き取り屋」売れ残り犬猫買い取り劣悪飼育!次々と餓死、病死

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   「ネコノミクス」とやらの空前のペットブームで、犬猫の飼育数は推計2000万匹、市場規模は1兆4000億円といわれる。その陰で売れ残ったペットの悲惨な姿があった。「引き取り屋」と呼ばれる業者による虐待だ。クローズアップ現代+が虐待され殺されていく犬や猫の姿を、テレビとして初めて伝えた。

「もともと殺される命を助けてやっているんだ」「犬がカネに見えてくる」

   殺処分される犬猫は年間10万匹。実態を知って欲しいと、和歌山県動物愛護センターが取材に応じた。特殊な部屋に入れ、二酸化炭素を注入すると数分で死ぬ。おびえた顔、悲しげな鳴き声・・・。言葉を失う映像だ。「こんな仕事なくなった方がいい」と職員は言う。

   殺処分されるのは、捨てられた野良以外は売れ残ったペットである。売れ残りはブリーダー、オークション、ペットショップの各流通段階で必ず出る。かつてはこれらを殺処分に回すことができた。だが、3年前に動物愛護法が改正され、自治体はペット業者からの殺処分を拒否できるようになった。センターの殺処分は減ったが、売れ残りがなくなったわけではない。闇の世界の登場となる。有料の「引き取り屋」である。

   2年前、栃木の河原に80匹もの犬の死体が捨てられる事件があった。手に負えなくなった業者が捨てたのだ。引き取り自体は違法ではないが、適切な世話ができないなど虐待が絶えない。

   元引取り屋だったという男性は多い時は100匹にもなった。いいものはペットショップで安く売り、繁殖できるものは子供を産ませて売った。それ以外の扱いは「雑だった」という。「モノというか、犬がカネに見える」。9軒のペットショップで働いたという女性。「売れ残りは負担なんです。場所もとるし世話もしないといけない。行き場のない犬は必ず出るから、業者がいないと成り立たない」

   公益社団法人・日本動物福祉協会はある業者を1年以上も追跡していた。調査で施設を訪れた時の映像があった。犬猫の入った狭いケージがぎっしりと積み重ねられて170匹。汚れきってぐったりと横たわる犬、耳ダニを放置され、無残に赤剥けになるまで掻きむしった猫。業者のノートには、1匹5000円から数万円を受け取った記録があった。

   協会はこの業者を動物愛護管理法違反で刑事告発した。当の業者は「もともと殺される命を助けてやっているんだ。死ぬまで置いてやるという気持ち。悪いことではない」とうそぶく。「できるものならやめたいよ。でも、やめないでという声がいっぱいあるんだから」

スイス生まれの春香クリスティーン「日本でペットショップを見てびっくりした」先進国にないシステム

   獣医師の林良博・東大名誉教授は「大量生産・大量消費はペットには似合わない仕組み。命あるものに余剰が出れば、業者が暗躍することになる。仕組みが彼らを生む」という。

   保護犬を引き取った映画監督の森達也さんは、「ジレンマでしょう。コンビニで賞味期限が切れた弁当を捨てるのと同じ。消費経済は余剰がつきものだが、命を当てはめていいのか」という。

   スイス生まれのタレント、春香クリスティーンさんは「日本で初めてペットショップを見てびっくりしました」という。スイスではペットはブリーダーや保護施設から直接飼い主に渡される。きちんとしつけを受けており、飼うには免許が必要で、違反すると罰金だ。

   殺処分に目を向ける動きは出てはいる。小学6年生の女の子が書いた作文「78円の命」がネットで話題になった。可愛がっていた捨て猫の姿が見えなくなって、殺処分を知った。「78円」は処分の費用だった。これを絵本にするプロジェクトが立ち上がり、400万円の寄付で来月(2016年5月)に出版の予定だ。「命を考えるきっかけになれば」とスタッフはいう。

   神奈川県は2年連続で殺処分ゼロだった。実は処分対象のペットをNPOが飼育して、飼い主を探しているのだ。個人や企業の寄付でやっているが、常時70匹はいるから、散歩は2時間がかり、病気の治療だけで多い時はひと月に100万円もかかる。代表は「一人でも多くの人に知ってもらうのが使命」という。

   犬猫の殺処分はかつて十数万頭だった。ペットショップでなかなか売れない犬を見て、「この子どうなるんだろう」と思った人は多いはずである。だが、その先を考える人はいなかった。クロ現+が伝えた悲惨な姿を犬猫好きは覚えておかなければいけない。

ヤンヤン

*NHKクローズアップ現代(2016年5月26日放送「追跡!ペットビジネスの闇」)

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