沖縄にとって脅威は米兵なんです・・・日米地位協定で守られた「治外法権」基地に逃げ込めば無罪放免
沖縄北部の山林の一角の草が生い茂る中に、多くの花束が手向けられている。島袋里奈さん(20)がウォーキングの途中に殺され遺棄された現場だ。雨の降るその現場で、大学院に通う砂川真紀さん(26)が熱心に祈っていた。身近な友人が島袋さんと同じように襲われたが、訴えることができず苦しんでいるのだと話す。
沖縄では、米軍関係者による強姦事件の被害者が泣き寝入りするケースが多い。日本で裁けない日米地位協定の制約、訴えても世間の晒し者なるだけというわけだろう。沖縄に基地があるがゆえの殺人や強姦などの凶悪事件は、警察が把握しているだけでも復帰以降の40年間で600件近くにのぼる。しかし、それは訴えがあった犯罪だけだ。
レイプされても泣き寝入り・・・友人にも話せず一人で絶望
砂川さんは友人の体験をこう語った。友人は見知らぬ米兵に乱暴され、殺さるのではないかという恐怖を味わった。そのことを砂川さん以外の誰にも打ち明けられず、今も深い心の傷に苦しめられているという。「友人は今回の事件の彼女と同じような経験をしたんです。今でも警察にも言えなくて泣き寝入りです。命あっても、心臓が動いていても、生き生きとできないって話していて、彼女の一生を奪ったんだなと思います。安全を守る、暮らしを守る名目で基地があり、米兵が何万人もいる。でも、沖縄の人にとって、米兵自身が脅威なんです」
今回の事件がきっかけでようやく口を開いた人もいる。金城葉子さん(61)は17歳の時、米兵に首を絞められ強姦されかけた。「被害を訴えれば世間から注目されてしまうと口を閉ざしてしまったが、今も辛い記憶のフラッシュバックに苦しめられ、精神安定剤を手放せない状態です」と語る。口を閉ざしたことで自分以外にも被害を受けた女性がいるのではないかと、自責の念に駆られるという。
「声に出せなかった被害者がこれだけいるとはショックでした」と話す鎌倉キャスターに、一緒に取材したNHK沖縄放送局の西牟田慧記者はこう話す。「表に出ないこうした被害者の数が実際にどのくらいかはわかりません。綱紀粛正が叫ばれるなかでも事件・事故が起きるのは、沖縄の人たちが繰り返し見てきている現実なのです」