2024年 4月 23日 (火)

<一路>(NHK総合)
 サムライの所作美しい永山絢斗!広重の浮世絵の風光、華麗な大名行列・・・時代劇ってやっぱりいいなあ

   すでに「BS時代劇」で放送されたもの(2015年7~9月)の再放送である。民放から連ドラ時代劇が消えて久しく、時代劇は息も絶え絶え、絶滅危惧種状態だが、こうやって久しぶりに見ると新鮮でいいなあ。

   最も「今風」だと思われる若手実力派俳優の一人、永山絢斗が主役を演じている。時代劇初出演だというが、なかなか良いサムライぶりである。背筋がピシッと伸びた座姿、陣笠に羽織の旅姿で走る時、手を振らず上体を動かさない日本古来のいわゆるナンバ走り、いずれも美しい。修業の跡がうかがわれる。

   テーマは参勤交代である。映画「超高速!参勤交代」(2014年)も見たし、私は参勤交代がなぜか好きなのだ。観光用の大名行列を見る機会があると、奴さんの毛槍投げを口開けて見てしまう。

   なお、映画は好評だったので「超高速!参勤交代リターンズ」が制作されているらしい(9月公開予定)。なんでも「行きは参勤、帰りは交代」ということで、行ったからには帰りもあるのだそうだ。そう言われればそうだね。今度は帰りの難儀ぶりを見に行こうっと。

急きょ命じられた参勤交代仕切り役・・・頼りは役に立たない先祖伝来の古い書

   さて本題だが、主人公・小野寺一路(永山絢斗)の家は代々、西美濃(現在の岐阜県大垣市辺り)田名部郡を領地とする旗本・蒔坂家の家臣である。参勤交代を取り仕切る「道中御伴頭」を務めている。一路は江戸生まれで、19歳になる今まで一度も西美濃に帰ったことはない。それが国元の屋敷が火事を出し、父親が焼死したとの知らせで急きょ帰ることになる。

   失火は大失態、本来ならお家断絶も免れないところ、参勤交代が目前に迫っているのでしかたなく一路に相続させ、御伴頭を務めさせることになる。父から何も教わる暇もなく、国元に知った人もない一路が唯一頼りにしたのは、焼け跡から見つけた先祖伝来の書「行軍録」だった。古式にのっとった行列の作法が書かれている。

   ほかに拠りどころのない一路としては「参勤交代は行軍なり」と記された書物どおりに参勤交代を執り行おうとする。しかし、時はすでに幕末の文久元(1861)年、各藩とも行列の作法は形骸化している。当然だ。幕府の権威も揺らいでいる上に、何せ各藩とも金がない。しかも蒔坂家は大名(1万石以上)にもなれないたかが7500石の旗本にすぎない。ここは、大金をかけて「正しい参勤交代」をやり遂げようとする一路の石頭に辟易(へきえき)する方に同情する。

悪人どもの暗躍で次々危難!ハラハラドキドキしながら一緒に江戸へ

   裏では参勤交代の失敗を画策し、お家乗っ取りを企む悪人どもが暗躍しているとなる。というわけで、江戸に向かう一行に次々と降りかかる危難にハラハラしながら一緒に旅をしている気分になるロードドラマである。浮世絵の広重に出てくるような景色も楽しめるよ。全9回のうち、あと2回残っている。クライマックスだけでもお薦めです。(土曜日よる6時10分~)

(カモノ・ハシ)

文   カモノ・ハシ
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