「延命治療は受けたくない」そのとき尊重すべきは本人の希望か家族の感情か

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   年老いた父や母が倒れて病院に。意識不明。医師は治療をすすめるが、親は「私は延命治療いらない」と言っていた。延命治療を進めるべきか、拒否するべきか。子供たちはどうしたらいいのか。

   埼玉県・熊谷市の橋本富恵さんは8年前に母親の志免子さんを看取った。生前、母は「延命治療はして欲しくない」と言っていたが、医師からの提案で胃ろう(体に穴をあけての栄養補給)を行い、やがて人工呼吸器も付いた。母は膵臓がんで人工呼吸器をつけて3週間で死亡した。77歳だった。富恵さんは今でも悔やんでいる。「母の希望を受け入れずに、家族の意思で母の人生を変えてしまったのではないかと思うんです」

秋野暢子「母の言葉に従ったけれど、後から凄く後悔」

   ため息まじりに落語家の林家三平は言う。「誰でも親には1日でも長く生きて欲しいですよね。私の母(先代林家三平の夫人・香葉子さん)に食事の時に聞いています。母は『昭和を生き抜いたし、もしお迎えがきたならそのまま行きたい。体に穴はあけたくない』と言いますので、僕は母の意思を尊重します」

   内閣府の調査では、高齢者の91・1%が延命治療は受けたくないと回答しているが、家族の希望で経鼻栄養53・9%、胃ろう57・4%が行われている。「本人の意思よりも家族の思いの方が優先されています」(三輪秀香アナ)

   井ノ原「(延命治療を)受けるか拒否するか、どっちの選択も後悔している印象ですね」

   ゲストの秋野暢子(俳優)は自分の体験を話した「母は60代で尊厳死協会に入って、倒れて危篤状態になったときに医者に言われました。『延命装置を付けなければ余命はあと1時間です』と。私は一人で悩みましたが、母の希望通りに天国に行かせて下さいと伝えました。でも、その後で凄く後悔しました。ひょっとすると延命装置で治るかもしれない。あと1年でも2年でも命が持ったらって」

患者本人が書面で病院に伝える「事前指示書」

   「アドバンス・ケア・プランニング」という取り組みがある。患者に治療の仕方を訪ねる制度だ。たとえば、春日井市民病では胃ろう、人工呼吸器などを希望するかどうかを確認している。それをもとに病院長あてに「私の事前指示書」を作成するのだ。

   国立長寿医療センターの三浦久幸部長)はこう説明する。「この指示書に法的拘束力はありません。本人の意思が変われば中身は何回でも変えられます。本人の判断ができなくなった場合の代理人の署名欄もあります。まだ数か所での実施ですが、今年は全国200か所での研修で広めていきます」

(磯G)

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