「宇宙の誕生」が目撃できる!?アインシュタインの宿題「重力波」キャッチで天文学に革命

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   アインシュタインが100年前に予言した重力波の波形を捉えることに成功したと、国際研究チーム「LIGO」(ライゴ)が今年2月(2016年)に米学術誌「フィジカル・レビュー・レター誌」に発表した。はるか13億光年離れた2つのブラックホールが合体する際に発したかすかな重力波を捉えたもので、ブラックホールに詳しい英国のスティーブン・ホーキング博士も「天文学に革命が起こり得る」と評価している。

「国中の干し草の中から1本の針を探すようなもの」

   重力波の確認はアインシュタインの最後の宿題と言われてきた。簡単に言えば、重さのある物体やエネルギーが動くと空間が歪み、波のように周囲へ伝わって行くという考え方だ。相対性理論でその存在を予言したが、100年の間、実証することはできなかった。

   研究チームのトップを務めるデイビット・ライツィ教授は「重力波を探すことは、国中の干し草の山の中から1本の針を探すようなものでした。私たちは新たな望遠鏡を手に入れたのです」と誇らしげに話す。

   どうやって重力波を捉えたのか。LIGOはタテ、ヨコ4キロの同じ長さの真空の管2本を直角に組んだ重力波検出装置を建設した。仕組みはこうだ。真空の管の中にレーザー光を飛ばす。光は途中で2つに分かれたあと、両先端にある鏡で反射する。普通は返ってくる光のタイミングはピッタリ同じだが、重力波が来ると空間が歪むためにタイミングにズレが生じる。これを観察できれば重力波の存在が証明される。

   ところが、思わぬ難問が発生した。検出装置は1000キロ離れた場所のわずかな振動も捉えてしまい、これでは正確に観測できない。振動を打ち消す振り子を4段重ねて障害をなくすことに成功したが、原因不明のノイズもあった。これを除去したのは日本人研究者たちだった。ノイズ調査の現場責任者である河邉慶太研究員は「施設の周囲にセンサーを設置し、ノイズ発生源を一つひとつ潰していった」という。

ブラックホールも見える望遠鏡

   久保田祐佳キャスターは「新しい望遠鏡を入手したというのはどういうことでしょうか」と理論物理学の第一人者、村山斉・東京大カブリ数物連携研究機構長に聞く。「望遠鏡にもいろいろ得意分野があるんです。赤外線望遠鏡だとちりに覆われた銀河を回り込んで銀河の中を見ることができます。X線望遠鏡は爆発した星から吹き出てくるものが見えたり、電波望遠鏡を使うとビッグバンが見えてきます。

   しかし、光のないブラックホールはこれまでの望遠鏡では見えなかったんです。しかし、重力波望遠鏡を使えば直接観測できるようになります。波形の間隔からブラックホールの重さがわかるし、波形の揺れ幅で地球からの距離もわかります。新しい望遠鏡とはそういう意味でしょう」

   科学者たちはステップをさらに進めて、宇宙誕生のナゾに迫るプロジェクトに取り組み始めている。観測の舞台は振動のない宇宙空間。3つの重力波検出装置を搭載した衛星を打ち上げ、地上では実現不可能な数百万キロの間隔で飛行させ、巨大装置で微弱な重力波を捉えようという実験だ。

   目指すのは136億年前の宇宙誕生の瞬間の目撃だ。このときに宇宙空間に生じたゆがみ、重力波は今も宇宙全体にかすかに存在していると考えられている。これを捕まえれば誕生の瞬間が『見える』のだ。日本の研究機関も打ち上げを計画しており、2030年代の観測開始を目指している。

   村山教授「実現すれば、昔のままのビッグバンが見えてくるだろうと思います。写真も撮れるんですよ」

   中川祥子(タレント)「素晴らしい。宇宙の始まり以前や外側とかを考え出すと頭がボンとなりますが、それに負けずについていけるというのがこれから始まるんですね」

NHKクローズアップ現代(2016年6月29日放送「アインシュタイン『最後の宿題』が解けた!~重力波天文学の夜明け~」)

文   モンブラン
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