2024年 4月 25日 (木)

「英国EU離脱」直撃で息の根止められたアベノミクス!1ドル95円、株価1万4000円台

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   イギリスが国民投票でEU離脱を選択したが、まだまだ先行きは不透明なようだ。この問題を週刊新潮がコンパクトにまとめてくれている。離脱を選択した瞬間から「ポンドが急落したことで、すぐにその判断を悔やんだ」「離脱派のウソを信じて票を投じた自分に嫌気がさした」と後悔しているというコメントがツイッターに溢れているというのだ。

   キャメロン首相を打ち負かしたボリス・ジョンソン前ロンドン市長は、<「人の心を掴むのがうまかった。(中略)離脱派に回ったのは、いまが首相を目指すチャンスで、キャメロンと同じことを言っていてはダメだと思ったからでしょう」(ロンドン在住のジャーナリスト・鈴木雅子氏)>。だが、彼はEUへの拠出金が週3億5000万ポンド(約480億円)に達すると主張していたが、実際の拠出金は週1億数千万ポンドだったと嘘を認めた。そのためもあってか、ジョンソン氏は6月30日(2016年)、保守党の次期党首選に立候補しないことを明らかにした。

   今回の離脱派の大逆転劇に力を与えたのはエリザベス女王のあるひと言だったという。「英国が欧州(連合)の一部であるべき理由を3つ挙げてください」だ。保守系新聞や大衆紙が女王の言葉として報じたことで、女王陛下は英国のEU残留に疑義をお持ちであるという空気が広がったというのだ。英国王室は発言自体は認めたが、会食の席での発言だと説明したようだが、離脱派に利用されてしまったようだ。

   アーティストたちも離脱派、残留派で喧しかった。離脱派はローリング・ストーンズのミック・ジャガー。残留派は女優のエマ・トンプソン、「ハリー・ポッター」の原作者J・K・ローリング、サッカーのデヴィッド・ベッカムなど。残留派が優勢のようだが、結果はご覧の通り。

   EUにはさまざまな規制があり、それが反発を招いていたという側面もあるようだ。<「イギリスで問題となっているのは、EUによる雇用条件や労働時間の縛りです。週当たりの労働時間を45時間としたり、年間4週間の有給休暇が定められた『労働時間指令』があり、産業界からは労働時間を硬直化させていると改善を求める声が出ていました」(ロンドン在住のジャーナリスト・木村正人氏)>

   移民への反発も強かったといわれるが、移民の多くはポーランドなどの東欧系で、建設現場の作業員など3K職場で真面目に働くのが大半だった。彼らが凶暴で犯罪を多発させているということはなかったそうだ。だが、現在のロンドンでは英国籍の白人の割合は5割を切ったそうだから、このままでは移民大国になってしまうという不安があったのではないかといわれているようだ。

   離脱はスコットランドや北アイルランドの独立に向けた動きにつながっていくのだろうか。スコットランドは離脱決定直後の世論調査で、59%の住民がイギリスからの独立を支持したというから、この流れは止まりそうにない。

   イギリスに進出している日本企業は900~1000社ぐらいあるという。なかでも高速鉄道や原発の軽水炉を受注するといわれている日立と、約8000人の労働者を雇用して年間50万台を生産している日産はどうなるのか。日立はイギリス国内だからさほど影響はなさそうだが、日産の輸出先はEUだから10%の関税がかけられることになる。今はポンド安だからいいが、これからどうなるか心配のようだ。

   イギリスが離脱したことによって、次はどこか。フランス、フィンランド、オーストリア、オランダ、ハンガリーあたりが離れるのではないかとドイツは怯えているという。離脱でイギリスが頭を抱えているのが、世界の金融街「シティ」から大手投資銀行のモルガン・スタンレーなどが次々に移転をはじめていることだろう。EU離脱で「パスポート制度」が使えなくなるからだ。これはEU内のどこか1カ所で免許を取得すればEU加盟国ならどこでも自由に支店を開くことができるというものだが、そのメリットがなくなってしまうからだ。

   離脱決定で日本でも株価が大幅に下げ、円高が急激に進んだが、第一生命経済研究所の長濱利廣主席エコノミストは、1ドル95円を割ってくることは大いにあり得るし、株も最大で1万4000円台半ばまで売り込まれることもあると予測する。

   経済のグローバル化を推し進めた結果、遙か遠い国であるイギリスのEU離脱が日本経済を直撃する時代だ。EU崩壊、トランプ大統領誕生などがあれば日本経済は吹っ飛ぶ。アベノミクスなど風の中のチリのようなものであったことが、安倍首相も黒田日銀総裁も嫌というほど分かったことだろう。

大橋巨泉さん最後の「最後の遺言」7月の参議院選挙は野党に投票して下さい

   週刊現代の連載コラム「大橋巨泉『今週の遺言』」を毎週楽しみにしていたのだが、このところずっと休載していた。今週再開したとあるのでさっそく見てみたら「最終回」となっているではないか。読んでみたが、今回は自分では書くことができずに奥さんと弟さんに口述筆記してもらったとある。残念だ。

   大橋巨泉さんとは長いお付き合いになる。最初に会ったのはたしか競馬場でだったと思う。作家の山口瞳さんの競馬連載にも出てもらった。ダービーの日だった。当時、巨泉さんのレギュラー番組が多かったTBS近くの小料理屋で2人でよく飲んだものだった。

   銀座へ流れて、途中で「元木、オレ、日テレに行くから」と席を立つことが何度もあった。『「1PM(エロブンPMともいわれていた)」に出るためである。テレビのある店へ移動して番組を見ていると、あれだけ飲んだのに司会の進行にいささかの乱れもなかった。ときどき一緒に日テレに行き、後ろで見ていたこともあった。

   忙しいのに私の結婚式の披露宴に出席してくれ、新婚旅行は彼がハワイにもっていた旅行会社のお世話になった。セミリタイヤしてからも、ときどき会って酒を飲んだり、巨泉さんの家で一緒にカラオケを歌ったことも懐かしい思い出である。

   私が「週刊現代」の編集長のときにコラムの連載をお願いした。巨泉さんは山口瞳さんの弟子を自認し、「週刊新潮」の「男性自身」のような人気コラムにすると張り切って引き受けてくれた。コラムのタイトル「内遊外歓」は私がつけた。94年に始まり586回続いた。がんに罹ったことなどもあり中断するが、08年に「今週の遺言」として再開し、今週号で344回になる。合計930回。もう1年半続ければ1000回になったのに、今回で「最終回」となってしまった。何回目かのがんで、今回はかなりきつそうだなと思って心配していた。

   巨泉さんのことだから、まだまだがんと闘い続けるとは思うが、お別れの日は近いのかもしれない。巨泉さんがこれだけはいわないと死んでも死にきれないという言葉をここに書いておく。「最後の遺言として一つだけは書いておきたい。安倍晋三の野望は恐ろしいものです。選挙民をナメている安倍晋三に一泡吹かせて下さい。7月の参議院選挙、野党に投票して下さい。最後のお願いです」

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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