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「貧困女子高生」バッシングの卑怯!便乗の片山さつき議員「一切お答えできない」

   NHKのニュース番組が取り上げた「子どもの貧困」問題で、実名を出して窮状を訴えた勇気ある女子高生が、ネットで理不尽な攻撃を受けている。NHKの報道は、収入が一定水準以下の「貧困状態」にある家庭では子どもが進学を諦めざるをえないなどの現状を伝えたもので、登場した女子高生は「家に冷房がないので保冷剤で過ごしている」「パソコンが買えないので、母親がキーボードだけ買ってきて打ち込みの練習をしている」などの実情を明かした。

   女子高生は貧困問題を取り上げた神奈川県主催の講演会でも、「あなたの当たり前が当たり前じゃない人がいます。子どもの貧困の現実を変えるために、まずこのことを知ってほしい」と、気づかない貧困があることを訴えていた。

家族構成、名前、生年月日、住所、家の写真、学校名まで公開

   ところが、番組放送の直後から女子高生を非難する書き込みがネットにあふれた。「これで貧困か」「本棚にたくさん本があって、中古の格安パソコン買えないのか疑問」「こんなにものであふれた貧困あってたまるか」というのだ。

   さらに、女子高生のツイッターが特定されて、その中から「1000円以上のランチを食べた」「コンサートのチケット購入」などが抜き出されて、「9000円のコンサートとか1000円、2000円のランチで貧困なんてふざけんな」「これで貧困と言われてもねぇ」などとエスカレート。家族構成、名前、生年月日、住所と家の写真、学校名まで公開された。

   これに片山さつき参院議員が便乗して、自身のツイッターで「チケットやランチを節約すれば中古のパソコンは十分買えるでしょう。進学は奨学金など各種政策で支援可能」「NHKに説明を求める」と書き込んだ。

   こうした展開に、女子高生が登場した講演会を主催した神奈川県は「修学旅行に行けない、部活の遠征費が出せない、大学進学を諦めたなど、周りが気付いていない貧困の現実に目を向けてもらうための試みだったのに、ネットの反応にはびっくりです」という。

   NHKは「食べるものもないというレベルの貧困ではなくても、経済的困窮によって高校生が希望する進路を諦めざるをえない現実があることを伝えたもの」と話す。

「あなたの当たり前が当たり前じゃない貧困」

   司会の羽鳥慎一「2つの問題があると思います。見えにくい貧困があること。ネットで炎上したこと。とくにネットは個人情報まで出て、ちょっとひどい。女子高生の過去にまでさかのぼって、もう誹謗中傷になっている」

   浜田敬子(「アエラ」前編集長)「こういう問題は当事者が声を上げることが大切で、彼女は実名を出して訴えてたわけです。こういう形の非難は許せないですよ。なぜもっと想像力を働かすことができないのでしょうか」

   羽鳥「片山議員に書き込みの真意を聞いたのですが、一切お答えできないということでした」

   玉川徹(テレビ朝日ディレクター)「この番組は見ました。映像もありました。あの文脈の中では、悪意がなかったら(ネットで)これだけ書けないですよ。ああ、こういう人がいるのかと受け取るのが一般的な感覚だと思います。ネットにはばか者もいる。でも、国会議員までが・・・」

   片山議員は「節約して中古パソコンを買え」といっているが、玉川は「節約しても買えないから訴えているのに」と怒る。

   羽鳥「チケットだって、3年間貯めて1回かもしれない。ランチだって、誕生日かもしれない」

   玉川「事実を確かめないと書けませんよ。奨学金なんて借金ですからね。NHKに説明を求めるなんて、普通の人にはできないこと。(片山議員は)どういうつもりで書き込んだでしょうかね」

   浜田「アフリカの貧困と違って、この貧困は見えなくいんです」

   3度の食事はできるが、文房具が買えない。外食もできるが、家電製品は買えない。進学できない――これが日本の貧困だと専門家は言う。