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発売ストップかかった「森のくまさん」 怒った訳詩者が抗議

   童謡の「森のくまさん」の元の歌詞はそのままで新たに歌詞を付け加え、イメージの全く異なる「森のくまさん」にしたCDが発売され騒動になっている。

   元はアメリカ民謡「森のくまさん」の歌詞を馬場祥弘さんが訳詞し、昔から童謡として子どもたちに親しまれてきた。ところが、お笑い芸人のパーマ大佐がこの元の歌詞をそのままに自作の歌詞を付け加え、自ら歌うCDがユニバーサルミュージックから発売された。

   怒ったのは訳詞した馬場祥弘さん。馬場さんの代理人である三木秀夫弁護士は「何の承諾もなく改変された歌詞まで馬場氏が作詞したかのような表示がされて販売されている」と、販売中止と慰謝料300万円を請求する騒動になった。

元の歌詞とどう変わったか?

   では元の歌詞とどこがどう違うのか?販売されたCDの歌詞の最初の部分を見ると...

   ♪ある日森の中 熊さんと出会った 花咲く森の道 熊さんに出会った

   (歌詞が付け加えられたのはこのあと)

   ♪ひとりぽっちの私を 強く抱きしめた熊 初めての温もり 体中に染み込んで 心地良く流す涙 だけど私はダメな子 人に言えない過去がある

   ♪色んな事に手を出した 犯罪 ギャンブル 膨らむ借金 私はいま追われている...

   歌詞だけだと童謡というよりも艶歌っぽく変わり、お笑い芸人のパーマ大佐が軽快に歌うとパロディーふうになり、元の童謡とは全く違うイメージになっている。

   三木弁護士によると、「昨年11月に日本音楽著作権協会を介しCDの発売元のユニバーサルミュージックから『歌詞に加筆する承諾を得たい』と連絡があったが、馬場氏が拒否した。ところが12月になって協会経由で「許可を頂いた」とCDのサンプルが届き発売が発覚したという。

パロディーに厳しい日本の著作権法

   これまでの替え歌と違うのは、オリジナルの作詞を残したまま書き加えたことだが、番組が取材した著作権に詳しい尾崎博彦弁護士は「日本の著作権法はパロディーだから許されるという建前はとっていない。作詞全体に改変はなくても付け加えたり省略すれば著作者人格権侵害の可能性もある」と指摘している。

   しかもCDに添付された歌詞カードには馬場祥弘とあり、元の作詞者が改変したと誤解されかねない表示になっているのも問題になっている。

   同業のお笑い芸人のネタに了解なしに自作のネタを付け加えて使えば、ルール違反だろう。

   スアジオでも、羽鳥慎一キャスターは「馬場さんが拒否したらダメですよ」ときっぱり、テレビ朝日ディレクターの玉川徹も「これは世界観が全然違う歌になっていますから馬場さんとしては承諾しかねるんじゃないですか」とパーマ大佐の替え歌には批判的だ。