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ポケットマネーで接待したトランプ流外交術 ごちになった安倍首相は大丈夫か?

   満面の笑み、長い長い握手、そしてハグ......まあ、これだけ派手にやった大統領はいないだろう。様々に日本批判や、要求を口にしていながら、面と向かうとケロリ。しかも、安倍首相が太平洋を飛んでいる間に、中国の習近平主席と電話会談で、「中国は一つ」を確認していたという。手玉に取られているのでなければいいが......。

   首脳会談では、尖閣問題だけが確認された。「尖閣」の名前こそ出さなかったが、尖閣諸島が日米安保条約5条にある、米軍の防衛義務の対象であると確認した。トランプ大統領は、「日本の姿勢かにあるすべての領域の安全保障及び同盟の、さらなる強化に責任を持つ」と述べた。ここだけはペーパーを読んでいた。当然中国が反応するはずを、トップの電話会談で押さえ込んだ、と見ていい。

北朝鮮ミサイルへの反応で違いも

   北朝鮮もミサイルを打ち上げた。首脳会談が終わったところへ飛び込んできた。安倍首相は「北は国連決議を遵守すべきだ」と型どおりの反応だったが、トランプ大統領は、「アメリカは偉大な同盟国日本と100%共にあるということ」と、ちょっと違った。

   ミサイルは大陸間弾道ミサイル(ICBM)ではなく、射程500キロ程度の中距離だった。また、打ち上げのタイミングも、首脳会談が終わってからだ。トランプ氏にそう敵対的でもなく、抑制が効いているかに見える。

   貿易、為替、自動車など、トランプ氏が噛み付いていたものは、議題に上らなかったらしい。これもまた見事な肩透かしだ。

   そしていよいよフロリダでのゴルフ三昧。トランプ氏が所有する、入会金5000万円、年会費200万円というとんでもない高級クラブ。安倍夫妻はここに二泊して、二日目をたっぷりゴルフに費やした。18ホールを終わった後、別のコースへ移動して9ホール、計6時間は前代未聞。ホワイトハウスでは、たった32分だったのに。

   ゴルフの様子は非公開だったが、プレー中も「安倍首相をおもてなししている」とツイッターしていた。当人がやっているのかどうか、何にしてもマメなことだ。

いくらかかった滞在費? すべてトランプ氏のおごり

   こうした滞在費用だが、日本政府が支払えば大統領個人への献金とみなされ、米国憲法に抵触する恐れがあり、米国政府が払えば国民の税金がトランプ氏のもうけとなる可能性があった。そのため二度の豪華な晩餐を含むこの滞在費は、個人でおごるということらしい。それにしても、こんな接待を受けて、安倍さん、今後言いたいことが言えるんだろうか。

   この派手な演出に、「安倍首相は、イギリスのメイ首相よりトランプ大統領に取り入ろうとしている」(NBC)、「こんなにおべっかを使う外国の首脳は見たことがない」などと、早速悪口が始まっていた。

   龍崎孝(ジャーナリスト)「貿易問題など、今回出なかったが、まだ残っていると見たほうがいい。トランプ氏は日米関係では経済を上位に据えている。が、日米関係が磐石であるためには、安全保障面が確立していないといけない。それを確認できた。個別にはこれからの話し合いになる」