2024年 3月 28日 (木)

〈マギーズプラン〉
略奪愛のち「のしをつけて返します」 腹がたつのに愛おしい

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   きっとこれが、運命だったのかもしれない。ままならない遠回りも、奇跡みたいだったあの瞬間も、全部を経てのエンディング。

   彼氏ができても続かない。こうなったら、精子バンク経由で、子供だけ持てればいい。そう思っていた学者のマギーが恋に落ちたのは、妻子ある同業の男性・ジョンだった。鬼嫁だ、君がいなきゃだめなんだ、言い募るジョンに、確実に惹かれるマギー。ジョンの妻・ジョーゼットもまた、一流の学者だが、ヒステリーを起こしがちでジョンの助けなしには日常生活も危うい。どの出版社から本を出すべきなの?一番最初に片付けなきゃいけない締め切りはどれなの?パニック状態のジョーゼットをなだめながら、主夫としての仕事を強いられているがために、ジョンは本当に書きたい小説が書けない。

   わたしが鬼嫁から、救ってあげなくては。マギーが選んだのは、不倫からの妊娠・略奪愛。これでジョンはやっと、書きたかった小説に専念できる。尽くす喜びをでいるうちは、幸せだった。けれど......

   ジョーゼットと別れた後も、頻繁にかかって来る電話。妻の予定より自分の都合が優先、でも元妻の予定は自分の都合を差し置いて最優先という態度の夫。あげく、家事をしなくていいいったのは君だ!と逆ギレすら始めてしまう。確かにそう言ったけど......ジョンに尽くし、継子の世話にてんてこ舞いのマギーは考える。私といるとこの人はよりかかるだけのダメ人間になっていく。いっそ、元妻の元に戻してしまえば......!

   策略家というにはあまりに稚拙。そして、妙ちきりんなところで正直で潔癖。「他人の人生を何度も壊そうとしないで!」と夫の元妻にどなられて、はじめて自分の行為の意味に気づく。ハッピーエンドのための唯一解だと思っていた計画なのに、なんて考えが足りないんだろう。でもわたしだってかわいそう!泣いて、うろたえて、天真爛漫と傲慢の両極の間をぐるぐる回る姿が、腹がたつのに愛おしい。

   とんちきヒロイン世にはばかる。空回りしても憎めない女の面倒さ、可愛らしさ、善良さ、存分にご堪能あれ。

ばんぶぅ

   おススメ度 ☆☆☆☆

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