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那須のスキー場で雪崩、雪山訓練の高校生ら8人が死亡 業務上過失致死傷の疑いも視野に捜査

   昨日(2017年3月27日)午前9時頃、栃木県那須町にある那須温泉ファミリースキー場のゲレンデ奥の山林で雪崩が発生。登山講習でラッセル訓練中の高校生ら48人が巻き込まれ、生徒7人と教諭1人が死亡、40人がけがをした。未明からの急な降雪による表層雪崩と見られる。スキー場はすでに閉場していた。

   午前9時20分、引率の教師から「雪崩に遭った」と110番通報があった。グループは栃木県の高校体育連盟の講習会参加者で、スキー場奥の新雪の急斜面でラッセル訓練中だった。7つの高校から生徒51人、引率11人が参加していたが、雪崩は先頭グループを直撃したという。

   グループは、埋もれた生徒らを次々と掘り出し、助け出したが、先頭グループがいちばん打撃を受けた。これが県立大田原高校で、死亡したのはいずれも大田原高校の、山岳部所属の16歳の生徒が4人、17歳が3人と顧問の教師(29)だった。

登山中止しラッセル訓練に変更

   講習会はこの日、茶臼岳登山を行う予定だったが、悪天候で中止し、新雪を踏み分けて歩くラッセル訓練が行われた。参加者によると、午前7時半の行動開始時でも吹雪いていたといい、実際に雪崩に巻き込まれた生徒は、「いきなり背中からやられた」と言っていた。新雪の雪崩は音がしない。

   春山安全登山講習会は、栃木県高体連が昭和38(1963)年から毎年行っている。雪がある時期の登山に必要な知識や技術を習得するのが目的。今年は先週土曜日(25日)から昨日までの2泊3日の予定で、午後には下山するはずだった。

   那須温泉ファミリースキー場は、福島県境の那須茶臼岳の南斜面に3つのゲレンデがある。そのひとつのゲレンデ脇の雑木林の斜面でラッセル訓練が行われていた。現地の天候は、近隣の那須高原のデータを見ると、27日未明から急激な雪となり、午前9時には30cmを超えている。スキー場はこれより標高が高いので、これ以上の降雪があったと推定される。

表層雪崩起きやすい状態に

   宇都宮地方気象台は、前日26日の午前10時32分、那須町に大雪、雪崩、着雪の注意報を出し、24時間最大降雪量30cm、注意期間27日まで。北部には特に「27日まで雪崩に注意して」としていた。

   このところ気温が高かったため古い雪が溶けて、これが急激な寒波で表面が凍った上に新雪が積もって、表層雪崩が起きやすい状態にあった。こうしたことから栃木県警は、講習会指導者の状況判断に問題があったとみて、業務上過失致死傷の疑いも視野に捜査を始めている。

   司会の夏目三久「参加者の中には、こんな状況でも訓練をやるんだという声もあったという」

   沢松奈生子(元女子プロテニス選手)「どのスポーツでも言えることだが、日程を強行するのはよくある。ただ、登山は命に関わるのだから、やめる勇気があってもよかった」

   牧嶋博子(TBS解説委員)「スポーツ庁が昨年、高校生の冬山登山は原則行わないように、と通達を出していた。今は春だが、雪崩注意報が出ている状況での判断は検証の要あり」

   今は装備もよくなって悪天候でもへっちゃら。おまけにスキー場だから、という安易な考えがなかったか。こと登山に関しては、訓練も実践も区別はない。