2024年 4月 23日 (火)

「獣医学部の新設は加計学園に決まった」と通告していた山本幸三・地方創生相 週刊文春の大スクープが安倍首相を追い詰める!

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   国家戦略特区を担当する山本幸三・地方創生相が、昨年(2016年)11月17日に東京青山にある日本獣医師会本部を訪ね、藏内勇夫会長ら4人に対して、「獣医学部を新設する。加計学園に決まった」と通告していたと週刊文春が報じた。大スクープである。

   私が読んでいる朝日新聞と東京新聞は一面トップ。しかし、どちらも「獣医学部の新設方針を伝えたと記録する文書が同会にあることが分かった」(朝日)「本紙が十九日に入手した同会作成の面会記録で分かった」(東京)と、週刊文春がすっぱ抜いたとは書いていない。

   いつもいうが、時系列的に見ても週刊文春の校了は18日、火曜日の夕方である。週刊文春の新聞広告や中吊りを手に入れ、新聞各社が動いたことは間違いないはずだ。少なくともジャーナリズムは、情報を早く取ったメディアには敬意を払うべきだと思う。

   安倍首相は、各メディアの調査で、支持率が30%を切る危険水域に入ったため、あわてて24、25の2日間、加計学園問題についての閉会中審議を開くことに応じた。

   報道によれば、官邸の強い意向があって行政が歪められたと爆弾証言した前川喜平前文科省事務次官と和泉洋人首相補佐官も呼ぶようだから、安倍にとっては厳しいものになるに違いない。

   安倍は一貫して「加計学園に決めた過程に一点も疚しいところはない」と主張してきた。だが、国家戦略特区の責任者である山本が、こう明言していたことが立証されれば、何が何でも腹心の友がつくりたいと願っていた獣医学部を、安倍が特区に押し込むために、あらゆる手段を講じていたことが白日の下にさらされるのである。

   しかも、週刊文春によれば、山本が獣医師会を訪れたのは、内閣府が獣医学部新設に関して、広く意見を募るパブリックコメントを始める前日だという。

   何のことはない、国民から広く意見を求める前に、加計学園と決まっていたのだ。茶番である。

   山本はその日、獣医師会に、今治市が土地で36億円のほか、積立金から50億円、愛媛県が25億円を負担し、残りを加計学園が負担するとまで説明していたというのである。その場にいた北村直人日本獣医師政治連盟委員長は、加計学園に決まったといわれ、驚いて、「反対意見を申し上げた記憶はあります」と、文春に答えている。

   加計学園の動きは早かった。すでに2015年から教員募集を始めており、2016年11月には今治市の建設予定地でボーリング調査を開始しているのだ。

   獣医学部新設の公募が行われたのは今年1月。加計学園側には、うちで決まりという確実な情報があったのは間違いない。

   しかし、加計学園は、「平成26年度の決算では、(略)翌年度繰越消費支出超過額は142.6億円となっており、依然として累積の支出超過を回復するには至っておりません。(略)今後約20年に渡る借入金返済を鑑みると収支が厳しい状況であることは変わりません」。2015年6月に加計理事長が教職員組合に提出した回答書にはこう書かれてあるという。

   黒字になっているのは今度獣医学部を新設する岡山理科大学だけで、2015年度の収支では、千葉科学大学は約4億4000万円、倉敷芸術科学大学は約6億5000万円の赤字になっている。

   当然だが、教職員の間では、圧倒的に獣医学部新設反対の声が多い。笑えるような話は受け入れる今治市にもある。

   「今治市は、学部新設で増える税収は年間約三千万円と試算しています。つまり負担する九十六億円を全て取り返すのに三百二十年もかかる計算です。また市民一世帯あたりで計算すると、負担は十三万五千円になります。獣医師不足に対し、これだけ払うことが妥当なのでしょうか」(「今治加計獣医学部問題を考える会」の黒川敦彦共同代表)

持病が悪化した安倍首相

   落ち目の安倍首相を悩ますのは加計学園問題だけではない。週刊新潮によれば、持病の潰瘍性大腸炎が悪化しているようなのだ。

   結婚30周年を祝う会の夜、体調を崩したため慶応大学病院の主治医が駆け付けた。それによって改めてメディカルチェックを受ける必要が出てきたため、慶応病院に行くはずだったが、報道陣が集まっていたためキャンセル。加計学園問題が終わった7月末に変更になったと、永田町関係者が話している。

   その前は森友学園が火を噴いていた3月25日だというから、わずか4カ月足らずで検査入院をしなければいけないというのは、憂慮される状態なのかもしれない。

   8月3日に予定している内閣改造も頭が痛いようだ。さすがに舌禍の宝庫と揶揄される稲田朋美は切る。加計学園問題で男を下げた萩生田光一、共謀罪審議で無能をさらけ出した金田勝年など挿げ替える人材は多くいるが、次となるとめぼしいのはいないのである。

   当選2回の三原じゅん子参院議員を厚労相にという見方もあるようだが、新潮は、彼女には異性問題があり、相応しくないとバッサリ。

   では最大の目玉となりそうな小泉進次郎はどうか。進次郎ウオッチャーの常井健一によると、アベノミクスの効果や安保法制の審議の仕方について安倍のやり方を疑問視しており、石破茂前地方創生相とは気脈を通じているところがあるから、入閣要請があっても応えないのではないかと見ている。

   どちらにしても、24、25の審議が安倍にとっても、攻める野党にとっても天下分け目の「関ケ原」になる。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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