2024年 4月 20日 (土)

「ワハハハ、おぬしもワルよのう」「局長様こそお人が悪い」......。官僚接待の生音声が明らかにする「霞が関ブローカー」の実態

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   文部科学省の現職局長(当時)が東京医科大の理事長に息子の裏口入学を頼み込んだ音声データをNHKが入手した。見返りに文科省の補助事業に東京医科大を選ぶことがもちかけられ、「予約入学」「要はどうやってごまかすかです」「私の名前は言わないで」などの会話の間に、「ワハハハ」「はいはい」と笑い声や合いの手が交る。まるで「越後屋、おぬしもワルよのう」「いえいえ、お代官様こそ」といった時代劇のような生々しいやり取りを、高級官僚と大学トップが実際にしていたというのだから驚きだ。

   高級官僚は受託収賄罪で東京地検から起訴された佐野太被告(元文科省科学技術・学術政策局長)、理事長は贈賄罪で起訴された臼井正彦被告(元東京医科大理事長)だ。舞台は去年(2017年)5月10日、都内の高級料亭らしい。

息子の裏口入学を「そうそうそこ、予約入学」

   音声は「上座で申し訳ない」「いやいや、ワハハ」で始まる。東京医科大を前年(2016年)に受験し不合格だった息子の話になり、つぎの入試で「ぜひぜひ、うちに予約しておいでになって」と理事長らしい声がもち出すと、局長らしい声が「そうそうそこ、予約入学」ときわどい名セリフを発した。

   その後は、文科省が私大の特色ある研究を支援する補助事業の話になり、理事長が「(申請を)出す前にちょっとご指導たまわることができれば」とやんわり切り出す。東京医科大は前年に申請したが選ばれなかったのだ。

   局長は「書類を指導すると、これは違反になってしまいますので、そこらへんを大学で考えていることについてやり取りすると、だんだんと見えてきます」と、違反に問われる恐れがないように注意しつつ、実質的には応じる意向をにじませる。ここで局長は「どうごまかすか」とまで発言したのだから、完全な確信犯ではないか。

   この事業には半年後、東京医科大が選ばれ、5年で1億円を超す補助金が支出されることになる。

   このやり取りを記録していたのは、収賄ほう助罪で起訴された谷口浩司被告だ。医療コンサルト会社役員というが、実態は高級官僚に食い込んで利権を仲介する「霞が関ブローカー」だった。参院議員の政策顧問という肩書の名刺を持って役人に接近していた。

   問題の場面でも、局長が「文科省の担当者をみつくろいますので」と谷口被告と行くように臼井理事長に話すと、谷口被告が「私と行けば記録に残らないですから、その方がお互いにいいと思います」と口添えした。理事長は「はいはい、わかりました」と返した。贈収賄完結の瞬間だ。不正入学した受験生の扱いは結局どうなったのか。今も学籍が認められ、いずれ医師になり、まさか患者を診察するのだろうか。依然として残る疑問に、NHKは触れなかった。

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