2024年 4月 25日 (木)

暴走トランプ「米中貿易戦争」落とし所はあるのか?中間選挙で頭はいっぱい

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   アメリカ・トランプ大統領は鉄鋼や自動車部品など中国製品に500億ドルの高関税をかけ、今後、2000億ドル相当の輸入品に25%の関税をかけるとまで言い出している。これに対して、中国は豚肉や大豆などの米国産品に報復関税をかけるなど、貿易戦争が激しさを増している。日本にも大きな影響が出てくるが、どこかに落としどころはあるのか。

   トランプの狙いは、11月の議会中間選挙に向けて、支持層の利益を図ることだ。「中国との関係が悪くなっても、これしかない」「失業で困っていたが、今は良くなった」という声が、アメリカ中西部の工業地帯に高まる。

   海外製品に押されて縮小の一途だった鉄鋼業に注文が殺到し、工場が続々再開している。イリノイ州の鉄鋼と製造業の街では求人の看板が立ち、企業の採用試験が連日行われている。「トランプに救われた」の声が出るわけだ。

   トランプ大統領の貿易政策アドバイザーのダン・ディミコ氏は「強い行動を助言しました。まだやります。中国の痛手はすさまじいものになる」と語った。

   その中国。広東省の自動車部品メーカーは3分の2が米国関税の対象で、担当者は「工場を減らす可能性がある」と深刻だ。李克強首相は「対抗措置をとる」と対決姿勢で、大学の研究員は「貿易摩擦になる。中国は最後まで抵抗するだろう」と見ている。

日本車にも20%関税

   問題は中国だけにとどまらない。トランプ政権は輸入車の関税を今の2・5%から20%以上に引き上げることも検討している。日本政府から情報収集を依頼されているコンサルタントのポール・ゴールドスタイン氏は「米国は日本に真正面からアプローチしてくる」と予想する。「トランプ大統領は従来の政治家と違う。非常にタフな交渉になるだろう」という。

   大和総研エコノミストの小林俊介氏は「自動車関税が20%上がれば、9500億円に当たる。鉄鋼や運輸、化学など関連産業全体で最大2・4兆円と、回避できねければ打撃は大きい」と試算する。日本メーカーが受注減となれば、中国工場だけでなく、国内工場の生産減も必至だ。やがて賃上げは抑制され、投資家の熱も冷めかねない。

   世界経済全体への影響も大きい。世界の経済成長率は予想の3・9%から0・6%下がる。2・9%の米国は0・8%、6・6%の中国は2・2%のマイナスという予想もある。

   三菱総研チーフエコノミストの武田洋子さんは「勝者は誰もいない。株価も為替も不安定になる」と、何をするかもわからないトランプ大統領の「不確定性」を懸念する。

   *NHKクローズアップ現代+(2018年9月3日放送「"トランプ発"貿易戦争の衝撃~日本・世界経済への影響は?~」)

文   あっちゃん
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