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「ママの遺したラブソング」
20歳のスカーレット・ヨハンソン、無教養娘の成長を好演

【 365日映画コラム 】
07/5/15 コメントを見る・書く
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   親の愛を知らずに自堕落な生活を送っている孤独な娘。無知で教養も無くセックスに溺れ、だらしの無い男友達とフロリダで豚小屋のようなところに住んでいる。そんなところに歌手だった母親が死んだという知らせ。本当に長い間会っていない母。それでも故郷のニュー・オルリーンズの母の住んでいた家に帰ってみると、そこには生前母と一緒にいた元大学教授のボビーと作家志望のローソンが住んでいた。得体の知れない二人の大人。その中に混じっての生活が始まる・・・。


   「ロスト・イン・トランスレーション」以来引っ張りだこのスカーレット・ヨハンソンが主役のパーシーを演じる。この映画に出た時は20歳。油が乗り始めた若い女優の演技は快調で見ていて気持ちが良い。この後彼女はウディ・アレンに気に入られて「マッチポイント」「スクープ」などに続けて出演する。恋人ではないが相手役の元大学教授、ボビーは「パルプ・フィクション」でカムバックしたジョン・トラヴォルタ。頭をすっかり白髪にして老け役で登場する。ローソンに「リクルート」のゲイブリエル・マック。「ザ・ハリケーン」のデボラ・カーラ・アンガーなど役者陣は充実している。監督・脚本はこれが長編映画デビューのシェイニー・ゲイベル。女性らしい繊細なタッチ、暖かい眼差しで登場人物を描いている。原作はロナルド・イヴァレット・カップスの小説。

   パーシーが一緒に住むことになった元大学教授ボビーやかつての大学院の教え子で作家志望のローソンたちは教養が高い。母が遺言で一年は住む権利を与えた二人とは気が合わないが仕方が無い。嫌々一緒に住むが、死んだ母のファンだった二人はパーシーの応援団だ。全く知らなかった母の姿が徐々に分かり始めるとともに、文学にも親しみ出し、何よりも教育を受けること、大学に行くことを勧められる。親の愛を知らずに育った娘が少しずつ癒されて行き、遂には「愛」を知る。

   過去の出来事に囚われて苦しみもがくボビー。突如暴れ狂ったり優しくなったり不安定な心の状態。彼との長年の憧れも友情も綻びかけるローソン。相変わらず小説は未完のままだ。パーシーはローソンにいつしか好意を持ち始める。老人と青年と若い娘。三人を結びつけているのは死んだ元歌手のパーシーの母。その母が「ボビー・ロングへのラヴソング」(原題)という楽譜を遺している。

   なかなか奥の深いストーリー展開で、教養が無いとついて行けない知的エンターテインメントの要素もたっぷり。シェイクスピアや詩人のブラウニングやフロストの句もしばしば言の葉に上る。中でも印象的に使われているのはT・Sエリオット。「人は冒険をやめてはならぬ 長い冒険の果てに 出発点に辿り着くのだから」この映画のテーマである。


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