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「赤い文化住宅の初子」
カネのことばかり考えて歩く極貧少女の物語

【 365日映画コラム 】
07/5/16 コメントを見る・書く
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   東京に住んでいる人には聞き慣れない「文化住宅」と言う言葉だが、筆者は子供時代に関西に住んだことがあるので分かる。木造2階建ての棟割りアパートのことを指す。要するに貧乏長屋だ。だから文化住宅の初子とは貧乏な生活をしている主人公のことである。

(C)2007 松田洋子・太田出版/『赤い文化住宅の初子』フィルムパートナーズ
(C)2007 松田洋子・太田出版/『赤い文化住宅の初子』フィルムパートナーズ

   原作は松田洋子の漫画。独身パラサイト男の「薫の秘話」で95年にデビューした。監督・脚本はタナダユキ。「さくらん」の脚本を担当したが、本作では監督も務めた。原作・脚本・監督と、松田もタナダも女性パワーで女性の心理を描く映画だ。

   主演初子は「海と夕陽と彼女の涙 ストロベリーフィールズ」で映画デビューした東亜優、16歳。その兄克人に「出口のない海」の塩谷瞬、ボーイフレンド三島君はTVで活躍している佐野和真、17歳。その他、宗教にこっているおばさん栄子に「釣りバカ日誌」の浅田美代子、初子の父に「HANA-BI」などの大杉漣と、ベテランが脇を固める。

   「赤毛のアン」が大嫌いな初子(東)は中学生で15歳の女の子。母は亡くなり、父は行方不明。ただ一人の兄貴克人(塩谷)もぐうたら。高校中退して働いているのはいいが、ナケナシのお金を風俗に使ってしまったり、頼りにならない。お金も無い、電話も無い、払わないから電気も止められる。「カネカネカネ・・・・」ラーメン屋のアルバイト帰りにお金のことばかり考えながら歩く。そのラーメン屋も時給が安いのに出前にケチをつけられクビ。初子は人生の不幸を一人で背負って生きている。そんな時に優しいおばさん栄子(浅田)に出会う。不憫に思い5千円を握らせる栄子。初子にとっては夢のようなお金。でも栄子は怪しげな宗教団体に連れて行く。

   そんな初子にも三島君(佐野)というボーイフレンドがいる。一緒の高校へ行こうね、と約束するがそんなお金なんてある訳が無い。三島君は初子の希望の星。高校に進んだ三島君と就職した初子。三島君の「結婚しよう!約束するけぇ」に救われる。

   家族は離散してひとりぽっち、極貧でカネの心配ばかり、厳しい社会をそれでも乗り切ろうとする主人公。聞いているだけで暗ーい話だが、初子の心の純真さ、未来に社会に希望を求める熱意、そして初子を求めて現れた少年などによって希望の映画になる。アルバイトでいろんな職種にトライしたり、信仰宗教の虜になった初子を救ってくれる駄目教師・田尻がいたり、結構笑わせるストーリーでもある。

   東のハスキーな声が、苦労する初子の大人びた感性を匂わせる。良い人に見えた栄子は、結局は宗教団体に入れたいだけのオバサン。教師にあるまじき態度の田尻を演じる坂井真紀がイイ味だ。


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