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「大日本人」
こんな映画、なぜカンヌへ?

【 365日映画コラム 】
07/6/ 6 コメントを見る・書く(118)
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   先行ロードショウの朝、築地東劇11時30分の第一回上映を見た。入りは3/4くらいで週日の午前としては上出来。多分松本人志ファンだろう若い人たちが多い。筆者は、松本が嫌いだから映画を期待しないが、ファンたちは映画のギャグで笑うだろうと耳を澄ます。だが少しだけクスリとはするが、誰も大笑いもしなければ拍手も無い。終わるとシラケタ顔で下を向いて出て行く。同じ日から始まる、たけしの映画「監督・ばんざい!」よりはマシだろう、とは筆者の採点だが、確かに「何でこんなモン、カンヌへ持って行ったの?」と疑問は残る。


   先ずバスの中の松本、カメラ目線でインタビューに答えている。詰まらない質問に詰まらない答え。このインタビューが全編通すから煩わしいし、邪魔だ。「厚着ですねぇ」「どうして折りたたみ式の傘持っているんですか?」とか、近所のそば屋で「どうしてチカラ・ウドンですか?」。変電所の警備員に「正義って何ですか?」。退屈なQ&Aで、映画がドンドン沈んで行く。松本はセリフを喋るのに余程自信が無いのだろう。受け答えなら馴れているし、自然に出来る。だがそんな糞みたいな質問に何の意図があると言うのだ?ションベンみたいに意味も無い垂れ流しの反応しかない。

   「大日本人」の意味が分かるのはかなり経ってから。東京には「締めるの獣」だとか「跳ねるの獣」だとかの怪獣(と言ってはいけないと松本、獣だ!と)が跋扈して、それを松本扮する大佐藤が巨人に変身してやっつけるのだ。やっつけても大衆は少しも歓迎しない。むしろ家の壁には「死ね!」なんて落書きをされている。どうして感謝されないのか説明も無い。特に「童の獣」を落として殺してからはデモ隊に囲まれるは、家は壊されるはでサンザン。大佐藤の泣き所は別れたカミさんに小学生の娘。半年に一度しか会って貰えない。ファミレスBIG BOYでの一緒の食事では、インタビューとカメラから娘のプライバシーを守るためモザイクをかけるのにはやや笑える。

   生活のため(月50万円じゃ食えないのでと大佐藤)獣との決闘をTVで中継させるが、深夜枠なので視聴率は悪い。身体のあちこちにスポンサー名「カトキチ」「毎日香」「北の恋人」。女マネージャーは腰にも張れ、いや腰だけは譲れないと詰まらない喧嘩。これも笑えないギャグ。大日本人は世襲制だが、5代目の父は早世し4代目の祖父は養老院を抜けて騒ぎを起こす。祖父思いの大佐藤に少しはホロリとする。でもこれもサムイサムイ。

   5年に亘る構想期間と8か月に及ぶ撮影に「自分のヒーロー像」を描く監督・脚本・主演の松本人志は一言で言えば「才能が無い」のだ。何かやって見るのは宜しいが、脚本の段階で駄目かどうかわかろうというもの。もっとも取り巻きの太鼓持ちたちに相談しても無意味だが。カンヌまで行って恥を晒し、公共の電波を使って宣伝しまくる。これを公害といわないで何と言うか?

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