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「フリーダム・ライターズ」
麻薬と暴力の高校生活を「一冊のノート」が変えた

【 365日映画コラム 】
07/7/18 コメントを見る・書く
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   映画は、たとえ感動的なドラマであっても、絵空事のフィクションだと思えば心が動かされないことがある。しかし実話だと知ると感動の度合いも増す。この映画の舞台は1994年、あのLAサウスセントラルでのロドニー・キング暴動から2年後のカリフォルニア州ロングビーチのウィルソン公立高校。荒れた生徒と大学を卒業したばかりの新米先生の話だ。

(C)2006 Paramount Pictures. All rights reserved.
(C)2006 Paramount Pictures. All rights reserved.

   英語教師エリン・グルーウェルと生徒たちによる「フリーダム・ライターズ」が原作。この本は、学校生活がすさむ中、先生の指導で「自分たちの気持ちを書くこと」により、犯罪や貧困の中でも気持ちを取り直していった生徒たちの手記をまとめたもの。1999年に出版され、NYタイムスのベストセラーの1位となった。

   サウスセントラルからさほど離れていないロングビーチ。エリン(H・スワンク)は弁護士試験も通ったが、英語教師の道を選んでウィルソン高校に赴任する。様々な人種の生徒たちは、銃やナイフを護身道具として携え登校する。エリンが203教室で出会ったのは学校から見離された生徒たち。貧困に喘ぎ、麻薬と暴力に浸かり、肌の色で対立する。教育学修士号を持つエリンは、教育とは生徒たちの色々な価値観を認めることから始まるという哲学を実践する。その第一歩として、10代で過酷な生き方を強いられたアンネ・フランクの「アンネの日記」を生徒たちに読ませる。これをきっかけに公民権運動のことなども学んだ生徒たちは、自分たちの心の中や現実、本音をノートに書き綴るようになる。

   エバ(A・L・ヘルナンデス)というラテン系の生徒に焦点が当る。暗い顔をした美人で、ラティーノギャングの中で育った。裁判で仲間に不利な証言をするが、エリンの教育の成果としてエピソードが紹介される。このように、「書く」という自己を内省し自分を表現する手段を得た彼らは、自分たちの環境を抜け出し将来の希望も発見するようになる。

   主演のヒラリー・スワンクは「ボーイズ・ドント・クライ」「ミリオンダラー・ベイビー」でアカデミー主演女優賞2度受賞の名優。原作に感動した彼女は製作総指揮をも買って出ている。エリンと対立する女主任教師キャンベルにイメルダ・スタントン。今度のハリー・ポッターでも敵役で出演しているが、憎々しげな表情が良い。脚本家出身のリチャード・ラグラヴェネーズはこの映画の脚本を書き、監督をしている。麻薬、暴力、人種差別に悩む生徒たちに、10代では関心の高いセックスの問題が全く出て来ないのが不思議だ。


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