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「松下を見習え」トヨタ車欠陥放置にネットの声

   トヨタ自動車の歴代の品質部長3人が2006年7月11日、業務上過失傷害容疑で熊本地検に書類送検された。同社の人気RV車にハンドル操作ができなくなる欠陥があることを知りながらリコール(回収・無料修理)を怠り、人身事故を引き起こした疑いだ。同社は記者会見もまだ開いておらず、「今回送検された3名の対応に落ち度はなかった」とのコメントに、ネット市民からは失望の声が続出、「(事故を起こしたヒーターを回収した)松下を見習え」という声もあがった。

「対応に落ち度はなかった」 トヨタは過失を否定

掲示板では失望の声が相次ぐ
掲示板では失望の声が相次ぐ

   トヨタはRV車「ハイラックス」のハンドルの動きを伝える鉄製の「ステアリングリレーロッド」が折れてハンドルの操作ができなくなる不具合を96年までの車内調査で認識しながら、リコール届けて部品交換などの対応を行わなかったとされる。その結果、04年8月12日、熊本県菊池市を走行中のハイラックス(93年式)のリレーロッドが折れてハンドル操作が不能になり対向車に衝突、5人が重軽傷を負った。今回書類送検された3人は、この事故を引き起こした責任を問われた。

   トヨタは書類送検後、ウェブサイト上に「今回送検された3名の対応に落ち度はなかったと考えておりますが、今後も熊本地検の捜査に全面的に協力させていただきます」というコメントを掲載し、報道各社には「限られた使用状況による破損で、リコールが必要という判断に至らなかった」と話すなど、同社の過失を否定している。さらに、同社広報部はJINビジネスニュースの取材に対して「報道各社には個別に対応しているし、すでに捜査が始まっており、会見を開いても話せる事はほどんどない」と、記者会見を開く予定はないことを明らかにしている。

   この対応に、

「歴代3部長送検か・・・ どう見ても組織的放置ですね。 こわ」
「トヨタも日本では尊大だな。 なめているとシンドラーの二の舞になるぞ」

といった批判の声がネット上の掲示板では相次いでいる。

「安全にこだわるメーカーです」というメッセージは大事

   これとは別の角度からの指摘もある。死亡事故を起こしたヒーターを回収しようとしている松下電器の対応を見習え、という声だ。松下電器は回収のためにテレビCM1万8,200本を「いま一度、心よりのお願いです」と、回収促進のためのCMに差し替えたほか、チラシを3億3,000万枚配布、さらには日本の全世帯に告知はがきを郵送するなどした。この一連の対応で240億円を費やしたが、06年3月期決算では、売上高が前の期比2%増の8兆8,943億円、営業利益が同34%増の4,143億円と、大きな伸びを見せたのだ。

「トヨタはバカだなあ。 松下電器を見習えよ。 あのファンヒーターの回収を。 しつこくコマーシャルで回収を訴え、全世帯に通知し、春になってもまだやってる。松下電器は安全にこだわるメーカーですよって、宣伝効果の大きさを」
「松下みたいな宣伝ができればトヨタも反省していると言えるだろうが、さて、もみ消しの方に金を使うのかな?」

   痛くもない腹を探られることにもなりかねないようだ。松下の成功事例でも分かるように、松下の場合は死亡事故だという違いはあるにしても、問題が起きた時には徹底的に説明しようとする姿勢が大事、ということだ。