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マンション買い時 年内説の真実度

   マンションの価格が2006年秋、都内で20%も上がりそうだ。土地価格の上昇、建築費の値上がりなどが原因だが、「年内が安くマンションを買えるラストチャンス」という説も出ている。

マンションの「値上がり」を取り上げた「週刊東洋経済」「ダイヤモンド」
マンションの「値上がり」を取り上げた「週刊東洋経済」「ダイヤモンド」

   週刊東洋経済ダイヤモンドなど大手マスコミで、最近マンションの「値上がり」がしきりに取り上げられている。どうも今後も上がり続けるという見方が有力のようだ。

「年内が安くマンションを買えるラストチャンス」

   そう話すのは、マンションビジネスコンサルティング会社のトータルブレイン久光龍彦社長だ。同社の調査によれば、05年のマンションの値上がりは都内で前年比10%、郊外で5%上がった。さらに今後1~2年で少なくとも都内が15~20%、郊外で5~10%上がる見通しだという。そしてに、ゼロ金利が解除されると住宅ローンの利率はアップするし、消費税の引き上げも予想されることなどを考えると、「年内」という結論が出てくる。

デベロッパーが競争して土地を買っている

   それではなぜ、この秋からマンション価格が急騰するのか。久光社長はJINビジネスニュースのインタビューに、

「第一の原因は、マンション用地が不足して、デベロッパーが競争して土地を買っているため」

と答えた。
   マンションブームと言われ始めたのが94年。以降マンションは売れ続けた。企業がリストラ策で工場用地を大量に放出したりしたため、マンション用地をデフレ経済下でデベロッパーは安く入手することができた。だから05年と95年~96年を比較するとマンション価格は05年のほうが20~25%高いのだという。しかし、ここに来て土地放出のリストラは一段落し、一方でマンションブームは続き、新たなマンション用地を探すのが難しくなった。土地の買い取り競争が激化、土地の購入費が跳ね上がった、という構造だ。

   そして、値段の上がった土地の上に立つマンションの供給が本格化するのがこの秋。秋以降の価格を「新価格」。それ以前は「旧価格」と業界では呼ぶ。では「新価格」物件以降、マンションの売れ行きは落ちるのか。久光社長は、「1、2年前のデフレ社会だったら見向きもされないが、現在は状況が変わってきた。価格の上昇だけなら売れないということはありえない」と分析している。
   景気が回復基調で雇用不安もなくなりつつある。消費者の意識もデフレ感が薄まり財布の紐が緩くなるなどの変化が起きているためだ。さらに、新築マンションを購入する中心層は団塊ジュニアで、「共稼ぎの夫婦が増えていることと、親に購入費用を出してもらっているケースも少なくない」。だから多少高くなっても影響は出にくいというのだ。

問題は住宅ローン金利がどうなるか

さらに、

「デベロッパーも、消費者の反応を見ながら恐る恐る価格を上げていきます。95年、96年の価格水準に戻るのには2~3年かかるはず」

と久光社長は言う。

   デベロッパー側の考えはどうなのだろうか。売れなくなると思っているのか。 大京の広報では、
   「土地取得などのコストが上がっているため『先高感』は消費者にもあると思います。でも、販売戦略も様々ですし、マスコミが言っているような急に価格が上がる『Xデー』なんてありえないと思います」
   と話した。
   人気が集中しているエリアでは消費者は価格以上に立地を優先したり、防犯や使い勝手、デザインなど付加価値を付けて販売する。また、利益を落としても低価格で販売する企業も出てくるのでは、と予想しているからだ。
   長谷工コーポレーション広報でも、物件の値上がりの影響はそれほどないと見ている。マンションの販売は好調なため、その流れが急に変わることは考えにくいというのだ。
   ただ、不安材料もないわけではない。
   「問題はゼロ金利解除以降。住宅ローン金利がどうなるかですね。値上がりと金利アップのダブルパンチだと、購入を躊躇する方もでるかもしれません」
   先の久光社長は、「『旧価格物件』は、来年の春までには売り切れると思います」という。
   やはり、年内が買い時かもしれない。