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内定辞退する学生急増 地方公務員人気「終わった」

   地方公務員への就職内定を辞退する学生が急増している。京都市では2007年春採用する上級一般事務職内定者の2割近くの25人が入庁を辞退したことがわかった。一方、東京都、名古屋市などでも採用試験の申込者がピーク時の半分にまで減少するなど、長らく続いた公務員人気にかげりがみえている。

   京都市の場合、06年10月26日現在で、定期募集は競争率8.1倍で141人が合格したものの、約20%にあたる25人が既に辞退した。京都市の人事課ではJ-CASTニュースの取材に答え、

「今後も辞退者が増える可能性がある」

   と話した。

京都市では追加募集実施

京都市ウェブサイトには、職員追加募集のお知らせが…
京都市ウェブサイトには、職員追加募集のお知らせが…

   「辞退者の多くは民間企業から内定をもらった、という理由を挙げている」(同人事課)という。同市では06年12月に追加試験を実施する。京都市以外の試験会場を東京に設ける予定。これは初めてのケースで、職員確保に向けた必死さがわかる。
   名古屋市では、大卒者を見ると、01年は6,974人が応募したが、06年は3,983人と半減した。同市役所の人事課では、

「公務員の給与、ボーナスが据え置きや減少している事もマイナスイメージになってるのだろう」

   と話した。名古屋は全国の中でも景気が突出して上向いており、地元企業も大量採用をしていることが響いたのではないか、と分析している。
   東京都23区の職員への応募も減少している。特別区人事委員会事務局によると、「大卒卒業程度」での応募者が、04年が9,479人、05年が8,853人、06年が7,789人と、年を追うごとに下がっている。特別区人事委員会事務局は、J-CASTニュースに「追加試験をするほどではないが、辞退者も前年より増えているようだ」と話した。

「不祥事の影響がないとは言えない」

   不況が続いた時代は公務員が就職先としてもてはやされたものの、景気回復により新卒者採用を増やす企業が増え、06年は「空前の売り手市場」と言われる。そうした影響をどの自治体も挙げるが、一方で、公務員の不祥事や、公務員バッシングが続いていることも原因、とする報道もある。06年10月17日の朝日新聞は京都市の内定者辞退について、

「担当者は『不祥事の影響がないとは言えない』と困惑している」

   と、公務員の不祥事続きが原因の一つであると報道した。同市では06年度だけでも、覚せい剤取締法違反や詐欺、児童買春などの容疑で、職員13人が逮捕されている。
   ネット上では「飲酒ひき逃げ・横領・買春と犯罪のオンパレード組織に未来はあるのか?」といった公務員バッシングは止まらない。大卒者の「公務員離れ」はこれからも加速しそうだ。