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地デジに国費投入 「高給与民放テレビ救済」と批判

   地上デジタル放送への全面移行を前に政府・与党は低所得者への受信機の無料配布を検討し始めた。2010年の現行のアナログ放送が打ち切られるに伴うもの。これまでにも地上デジタルには国費が投じられており、「高給与・高待遇の民放テレビ局を救済するのか」という批判も出ている。

2010年までの切り替えは困難な見通し

地デジ受信機の普及は進むのか
地デジ受信機の普及は進むのか

   地上デジタル放送は03年12月から東京、大阪、名古屋の3大都市圏でスタート、06年末で全国の3,950万世帯(全国の84%)に電波が届くようになった。しかし、地上デジタルを視聴できる受信機の普及は1月末時点で1,792万台。日本のアナログ受信機は約1億台あり、2010年までの切り替えは困難な見通しになっている。

   10万円を下回る地上デジタル受信機も店頭に並び出したが、高齢者など低所得者にはまだ負担が大きい。NHKや民放からは「受信機の無料配布など強力な普及推進策を取らないと全面移行は難しい」という声があがっていた。これに応え、政府・与党は「情報格差が生まれかねない」と買い替えが困難な家庭に対する支援策が必要だと判断、受信機の無料配布の検討に入った。

   財源については、新たな交付金か、地方債発行を認めて元利償還費用を交付税で賄う案を軸に調整している。地方自治体の負担は1割程度にとどめる方針だというが、テレビ局という一般企業の「救済」に通じるだけに疑問は残る。
   テレビのデジタル化に際し、米国では、低所得者に対して1世帯に40ドルのクーポン券2枚を配布することになった。ヨーロッパでも同様な支援策を行なっている。日本ではアナログ受信機に取り付けるチューナー(2万円程度)を地方自治体が対象家庭に配布する案が有力だ。

テレビ局社員の年収30歳台で1,500万円

   地上デジタル放送にはこれまでアナログ放送の周波数変換対策費用として約1,800億円の国費が投じられた。さらに、通信・放送事業者が国から電波を借りている対価として国に納める電波利用料は携帯電話事業者が年間550億円支払っているのに対してNHK含む放送事業者はわずか6億円にすぎない。こうした批判が以前から起きている。

   NHKの相次いだ不祥事が一段落したと思っていたら、関西テレビの捏造問題の発覚を皮切りに、TBSフジテレビテレビ東京と各民放で次々とやらせや捏造が明るみに出ている。おまけにテレビ局の社員の年収は30歳台で1,500万円と高待遇。そんなテレビ局のために国費を投入することに国民は納得するだろうか。