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北朝鮮支援NGO代表 裏の顔は「カネまみれ」

   厚生労働省の補助金詐欺事件で、北朝鮮を支援する非政府組織(NGO)代表代行の小坂浩彰(本名・小坂博幸)容疑者が逮捕された。架空取引を行った厚労省から出向中の埼玉県保健医療部長と詐欺行為を繰り返していた疑い。また、「(訪朝目的は)お金もうけで利権だ。それ以外にない」と言い放ったという報道もあり、「カネ」まみれのトンデモない人物だった。

「北朝鮮とのパイプ」アピール、メディアにもたびたび登場

厚労省の補助金詐欺事件にはトンデモNGO代表代行が絡んでいた
厚労省の補助金詐欺事件にはトンデモNGO代表代行が絡んでいた

   厚労省が支給する科学研究費補助金(科研費)を騙し取ったとして警視庁捜査2課は2007年3月9日、厚労省から出向中の埼玉県保健医療部長中村健二容疑者とNGO「レインボーブリッヂ」代表代行の小坂博幸容疑者ら計3人を逮捕した。中村容疑者が鹿児島県保健福祉部長時代に、2001、02年度分の科研費のうち約210万円を小坂容疑者らとともに騙し取った疑いがもたれている。
   中村、小坂両容疑者は、同省科研費支給対象の研究で詐欺行為を繰り返していたとして、同課は捜査を進める方針だ。中村容疑者は科研費支給の選定にも関わり、科研費の使途の報告にも領収書の提出の必要がないことを知っていた可能性が高いのだ。

   厚労省はJ-CASTニュースの取材に対し、中村容疑者が旧厚生省補佐官だったことから「そのたぐい(科研費支給の選定)の業務をしていたはず」と答える。同省によれば、年間430億円を科研費に計上しているが、領収書の提出などは必要なく、さらに経理関係は研究を担う主任研究官に「丸投げ」の状態。02年度から、大学側の財務課などに経理を担当させる制度を導入し、研究者が支払い・発注などに直接関わらないようにし始めたという。しかし、今回の詐欺事件は、こうした制度が導入される前の出来事だった。

   NGO「レインボーブリッヂ」は北朝鮮への人道支援を目的に、小坂容疑者が中心となって00年4月に設立。小坂容疑者は「北朝鮮とのパイプ」をアピールし、テレビなどのメディアにもたびたび登場している。政治家や産業界との強いパイプがあるとされ、06年7月にも、中堅ゼネコン「水谷建設」の脱税事件の関連先として捜索を受けている。さらに94年の国会・予算委員会では、92年から四日市中央病院の顧問を務めていた坂口力労働大臣(当時)を同病院に紹介した人物として小坂容疑者の名前が取りざたされたこともあった。

「NGOは半分詐欺のようなもの」?

   しかも、小坂容疑者はNGO活動に対してもトンデモ発言をしている。
   07年3月10日付け毎日新聞によると、同紙の取材に対し、小坂容疑者は「NGOは半分詐欺のようなもの」「(訪朝目的は)お金もうけで利権だ。それ以外にない」などと逮捕前日の07年3月8日に答えたという。「カネ」をめぐる噂の絶えなかった小坂容疑者だったが、利権目当てのNGO活動だったことが明らかになった形だ。J-CASTニュースはNGO「レインボーブリッヂ」に電話取材を試みたが、家宅捜査を受けたこともあって留守番電話の音声が流れるだけだった。
   NGO活動に詳しい週刊誌記者は次のように明かす。

「NGOを設立する人には、国のお墨付きがもらえる、税金逃れができると考えている人が多く、一部では暴力団や経営がうまく行かなくなった会社の『隠れ蓑(みの)』にもなっている。利権目当てのNGOが多いなかで、今回の詐欺事件は十分に起こりうる話だ」