J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

不二家問題でTBS 「不十分謝罪放送」

   TBSの情報番組「みのもんたの朝ズバッ!」の放送内容に「捏造疑惑」が浮上している問題に対して、同番組が「お詫び」を放送した。しかし、謝罪は「誤解を招きかねない表現」についてのみにとどまり、「捏造」については全面否定した。しかも、「廃業してもらいたい」発言については、みのもんた本人からの謝罪はなかった。「不自然」なほどに不二家を持ち上げる報道内容に、「訴訟逃れではないか」との指摘まで出ている。

「スタジオのお菓子はぜんぶ不二家にします」

「謝罪放送」でみの氏本人の謝罪はなかった
「謝罪放送」でみの氏本人の謝罪はなかった(TBSより)

   「朝ズバッ!」は2007年4月18日、一連の不二家報道について「お詫び」を放送した。その前に流れた「不二家が商品の販売を再開」というVTRでは、「うれしいですね」「がんばってもらいたいですね」などの声のみで編集された街頭インタビューを流したほか、司会のみのもんた氏が、

「従業員の方なんか、特に家族の方の気持ちを思うとね。私に厳しいこと言われて、ガックリきてる方もいるんじゃないかと思いますけど。これからはね、『新生』になった不二家ということで、私もどんどん応援させていただきますから、頑張ってもらいたいと思います」

とコメントした。さらには「スタジオのお菓子はぜんぶ不二家にします」と、冗談まで飛び出す様だ。

   07年1月23日の放送で「廃業してもらいたい」「こういうメーカーがのうのうとしていること自体がおかしい」とまで不二家を「断罪」した時との豹変ぶりがすごい。

   J-CASTニュース「朝ズバッ!捏造疑惑深まる みのもんたよ『テレビの画面上で謝罪すべきだ』などでも報じたとおり、不二家が社外に設置した信頼回復会議は、07年1月22日の「朝ズバッ!」で報じられた「チョコレートの再使用」について、明らかに事実に反し、捏造の疑いもあるとして、「TBSに対する損害賠償請求など法的措置をとることを検討すべきだ」と不二家に提言、不二家も、TBSに訂正放送を求めていた。

みのもんた氏から謝罪の言葉は出ず

   4月18日の「朝ズバッ!」での「謝罪放送」では3点の『誤解を招きかねない』表現があったと述べ、「この3点についておわびします」と謝罪。3点とは、

(1)「出荷されたチョコレートが工場にもどる」というのは、証言者の伝聞だった
(2)証言者の不二家勤務は10年以上前だったが、最近のことと誤解されかねかった
(3)「チョコレートと牛乳を混ぜ合わせた」という表現があったが、牛乳と断定した点は正確性を欠いた

というものだった。さらに、柴田秀一アナウンサーが「いきすぎた表現、コメントがあった点についてもお詫びします」と謝罪。しかし、「TBSでは証言者に法律家が面談するなどの調査をしたやらせや捏造に類する疑いはないとの報告を受けている」として、「捏造」を否定した。結局、「チョコレートの再使用」の真偽については触れられず、みのもんた氏からも謝罪の言葉はなかった。

   不二家関係者も「(放送内容が)あまりに不自然。おべんちゃらでお茶をにごすつもりなのだろうか」と、TBSへの不信感をあらわにする。

   不二家・信頼回復対策会議の議長を務めた桐蔭横浜大学コンプライアンス研究センター長の郷原信郎教授は今回の「謝罪放送」について、

「重要な事件があった日の放送で、あれだけの時間を割いてこの問題について放送したということは、TBSが深刻にこの問題を受け止めているということだと思う。また、よっぽど訴訟を起こされたくないという気持ちの現われのような気もする。ただ、事実について、どの部分が誤っていたのか明確にしておらず、中身のないものだった。訂正放送ではなく、『訂正謝罪的』放送でしかなかった」

と述べた。

   この放送は一体なんだったのか。J-CASTニュースがTBS広報部に問い合わせたところ、「これ前にも言いましたけど、そちらにはお答えしないということになっておりますので」と、またしても取材を拒否された。

   不二家は07年4月18日中に何らかのコメントを発表するとしている。