J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

こんにゃくゼリーで11人死亡 外国で禁止なのになぜ放置

   07年に入り、こんにゃく入りゼリーをのどに詰まらせ、7歳の男の子2人が死亡していた。国民生活センターが2007年5月23日こんな事実を発表した。1995年以降、11人も死亡したことになる。EU、韓国、米国ではゼリーへのこんにゃく使用をすでに禁止している。日本ではどう対応してきたのか。

   同センターによると、過去にこんにゃく入りゼリーをのどに詰まらせて死亡したのは、68歳以上が3人、40歳代が1人、6歳が2人、2歳以下が3人。最近では1999年が最後だった。ほかにも死亡には至らなかったが、のどを詰まらせ病院に行き、後遺症が懸念されたケースもある。

「子供や高齢者は控えるべき」など8回の注意喚起

こんにゃく入りゼリーへの注意を呼びかける国民生活センターのHP
こんにゃく入りゼリーへの注意を呼びかける国民生活センターのHP

   こんにゃく入りゼリーは、一口サイズのものが1991年ごろから出回り始めた。同センターによると、現在ではほとんどが一口サイズのものだが、今回の2件の死亡事故のゼリーのサイズとメーカーは調査中だ。
    95年に1歳6カ月の男の赤ちゃんが死亡して以来、同センターはこれまでに7回の注意喚起を発表していた。「続発!一口サイズのこんにゃく入りゼリーによる死亡事故」(1996年6月)、「ソフトタイプこんにゃく入りゼリーでも窒息事故 幼児には与えない方が無難」(97年9月)など。2006年11月が直近で今回が8回だ。今回は「子供や高齢者に食べさせることを控えるべきである」とし、06年の「幼児等には与えない方が良い」より踏み込んだ。

   メーカー側はこれまで、のどに詰まらせる可能性があることを伝える注意表記を目立つようにしたり、ゼリーの大きさや、通常のゼリーより硬いとされる硬さを変えるなどの対応をしてきた。しかし、従来より柔らかくしたタイプでも後に死亡者が出た。同センターは「いくら改善努力をしてきたとしても、死亡者が新たに出たという結果責任は大きい」とメーカー側の対応にいらだちを見せている。

ようやく全面禁止も含め検討

   こんにゃく入りゼリーは海外へも人気が広がったが、米国などで死亡者が出たことを受け、EUは03年にゼリー菓子へのこんにゃく使用を禁じた。同じころ韓国でも同様の措置が取られた。米国でも、事実上流通しないように当局が注意を呼びかけている。

   同センターは「国や業界団体と協議しながら、全面使用禁止も含め、検討する必要がある」と今回の約8年ぶりの死亡事故を重く見ている。EUが禁止措置を取った03年ごろは、日本では1999年以降死亡者ゼロが続いている時期でもあり、大きな動きにはならなかったが、今回は違うという姿勢だ。

   あるメーカーの担当者によると、約8年間も死亡事故の報告がなかったことで、改善を目指す姿勢に気の緩みがあった。
    別のメーカー担当者は「そのまま吸い込む食べ方に問題がある。表示で注意は呼びかけているが、最近は大きな事故がなかったことで、消費者の側も気の緩みがあったのではないか」と、まるで消費者が悪いといわんばかりのコメントをする。子供や高齢者は、食べやすい大きさに切って、よくかんで食べて欲しいとも訴えた。全面禁止措置の可能性についてきくと「メーカーの中でもゼリーの形状などの工夫を徹底する社も改善が不十分な社もある」と一律の「悪者扱い」に不満そうだった。