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「処分逃れ」認めぬ 厚顔無恥グッドウィルに「制裁」

   訪問介護最大手のコムスンの親会社「グッドウィル・グループ(GWG)」は2007年6月6日21時過ぎ、コムスンの事業を同グループの連結子会社に譲渡する方針を決めた、と突然ホームページ上で発表した。しかし、厚生労働省は7日夜、「譲渡は凍結すべきだ」、との見解を発表した。同社はこれまでも「処分逃れ」とみられる「脱法行為」を繰り返しており、今回も同様なケースで、厚顔無恥な企業体質に「制裁」が加えられた形だ。

「子会社が申請してきても和歌山県では認めない」

   グッドウィル・グループに対しては集中砲火とでもいうべき批判が浴びせられていた。

   憤りの声を挙げたのは、和歌山県の仁坂吉伸知事。7日の定例記者会見で記者の質問に答えた。「この行為は脱法行為だ。法の正義を逃れようと考える人間が福祉に手を出すのはおかしい。(別の)子会社が申請してきても本県では認めない」

   ほかにも、7日の新聞の社説も、読売新聞が「悪質事業者に『退場処分』は当然だ」と見出しをつけ「介護という公共的な事業で、こうした法の裏を突くような手法を認めていいものか、厚労省は慎重に検討すべきだ」と断じた。毎日新聞は「介護制度を食いものにするな」、日経新聞は「業界トップの企業が組織ぐるみで高齢者を食い物にするような行為に走っていたとすれば、あきれるほかない」と論じた。

「バタバタして記者会見は開けなかった」

コムスン事業譲渡の突然の発表で6日夜は報道陣が多数詰め掛けた
コムスン事業譲渡の突然の発表で6日夜は報道陣が多数詰め掛けた

   介護保険の不正請求に関し、東京都からコムスンとともに計3社で返還指導を受けた大手介護企業の中からでさえ、「信じられない。やってはいけないこと」と批判が上がる。業界が全体として未熟だ、という指摘を受けることが増え肩身が狭い、とも話した。
   こうした批判に押される形で、厚労省は譲渡を凍結すべきだ、との判断を固めたとみられる。

   6日夜に同グループがHPだけで方針を発表したことを受け、同グループ本部が入る東京の六本木ヒルズには報道陣が多数詰め掛けたが、会見は開かれないままだった。

   J-CASTニュースの取材に対し、同グループの広報IR部は、6月4日に新設したコムスン広報室に質問するよう答えた。グループ全体の話のはずだが「コムスン絡みの話はコムスンへ」。コムスン広報室に聞くと、「(6日夜は)バタバタして会見は開けなかった」と答えた。

   事業譲渡への「処分逃れ」批判については、「お客様からのサービス継続に対する不安の声、従業員からの雇用に対する不安の声が数多く寄せられ、不安を解消するためには、この事業譲渡がセーフティーネットとして、最善の策であると考えております。コムスンに残された選択肢は限定されておりましたことをご理解いただければと思います」と文書で答えた。