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女子高生に「パンツ売って」 これで「犯罪」になる条例が続々

   女子高生から下着を買ったとして、岐阜県の会社員の男性が「青少年保護育成条例」違反の疑いで書類送検されるという事件があった。現在では全国のほとんどの自治体が制定しているこの「青少年保護育成条例」だが、その中にパンツやブラジャー、唾液などの売買を禁じる条文がここ数年で盛り込まれるケースが増えている。知らないで声をかけたりしたら、それだけでお縄になるのだ。

東京、神奈川、大阪など多くの自治体で導入

東京都の条例では女子高生の下着を買い受けることを禁止(「東京都青少年の健全な育成に関する条例」より)
東京都の条例では女子高生の下着を買い受けることを禁止(「東京都青少年の健全な育成に関する条例」より)

   岐阜県の会社員の男性(35)が、女子高生の使用済み下着を買ったとして岐阜県青少年健全育成条例の使用済み下着の買い受け禁止違反の容疑で2007年6月12日に書類送検された。岐阜県警などによると、男性社員は07年4月24日午前に岐阜市のショッピングセンターのトイレで女子高生(15)の使用済み下着を現金1万円で購入した疑い。男性は、インターネット上の出会い系サイトで、この女子高生と下着を売買についての情報交換を行っていた。

   県男女参画青年課によれば、県が定める青少年健全育成条例のなかに、未成年者の使用済み下着を買い受けることや、売却相手の紹介、買い受けの場所を提供することなどが禁じる条文が盛り込まれている。

   「思慮分別の未熟な青少年の性の逸脱行為を行うことを防止するとともに重大な性犯罪被害へと発展することを未然に防止する」というのがこの条文の趣旨だが、盛り込まれたのは05年10月。同課は、「背景にはインターネットによる性情報を未成年者が取り込むようになり、ここ数年で下着売買などの情報が多く出回った」と説明している。

   しかし、この条文は岐阜県だけの話ではない。東京都、神奈川県、大阪府といった多くの自治体では04~05年にかけて条文を改正し、青少年の使用済み下着や唾液などの買い受けを禁止しているのである。東京都青少年治安対策本部青少年課はJ-CASTニュースに対し、

「下着などを換金し、多額の金銭を手に入れる青少年が増え、風俗店に出入りしたり、犯罪に巻き込まれる事例が実際に増えた」

と、この条文を盛り込んだ理由を説明する。ちなみに都の公式の条例解釈では、この条例で言う「下着」とは、

「上着の下に着る衣服で特に直接肌につける衣服を言い、かつ通常公衆の場所でそれのみを見せることのないもの」

のことをいい、パンツ、ブラジャー、パンティーストッキングがこれに含まれ、普通の靴下は含まれない。

「犯罪になるとは思わなかった」

   さらに、「パンツ売ってよ」と女子高生に声をかけただけで「青少年保護育成条例」違反容疑で書類送検された事例もある。

   05年10月4日付け毎日新聞(地方版)によれば、神奈川県警は05年10月3日に横浜市の会社員男性(24)が「パンツ売ってよ」と路上で女子高生に声をかけたとして青少年保護育成条例違反容疑でこの男性を書類送検した。同紙によれば、男性は

「犯罪になるとは思わなかった。丈の短いスカートをはいていたのでムラムラした。新品ではなく、使っている下着が欲しかった」

と容疑を認めたのだという。この事件は、「パンツ売ってよ」と声をかけられた女子高生が、男性が乗っていた営業車に書かれていた社名とナンバーを覚えていて発覚した。

   しかし、「パンツ売ってよ」と声をかけるとなぜ犯罪になるのか。実は、神奈川県はじめ、東京都、大阪府などの自治体では、青少年の使用済み下着、唾液などの売買を「勧誘」するような行為もまた、同条例によって禁止されているのである。「ブラジャー売って」「唾売って」「パンスト売って」などと女子高生に言ってしまったら、「危ない」のである。