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ガタつく三菱UFJ、記者の「夜回り取材」で懲罰??

   三菱UFJがガタついている。飛鳥会への不正融資問題や投資信託の販売をめぐる不適切な対応、行員による女子大生へのセクハラ事件、米国でのマネーロンダリング(資金洗浄)問題と、最近やたらとコンプライアンス違反が目につく。2007年6月11日には海外業務と投資信託の販売業務をめぐって、とうとう金融庁から業務改善命令を受けた。

旧東京三菱と旧UFJの確執?

三菱東京UFJ銀行は「夜回り取材に応じたからといって罰するわけではない」と話す
三菱東京UFJ銀行は「夜回り取材に応じたからといって罰するわけではない」と話す

   なかでも、リテール(個人対象)業務の柱に成長しつつある投信販売では、注文を受けておきながら発注を忘れたり、間違った発注をしたり、原状回復や損失補てんの説明が不十分だったりと、あまりにずさんだった。

   しかも、こうした事案について、旧東京三菱銀行には「顧客に謝罪し追認すれば解決する」という認識があった。旧UFJにはしっかりと「謝罪で済ませることは厳禁」という規定があったにもかかわらず、新銀行となって旧UFJもこれにあわせていたという。

   合併によって、システムや規定を一方の銀行に「片寄せ」することはめずらしい話ではないが、お客にとって悪いことまで片寄せするのはおかしい。

   行政処分が出た翌日(6月12日付)の読売新聞は、「三菱至上主義が幅をきかせている」と報じた。6月9日付のフジサンケイビジネスアイは、「エリート三菱と野武士のUFJ 融合遅れ あつれき表面化」と旧東京三菱と旧UFJの確執を伝えている。

「夜回り取材に応じたからといって罰するわけではない」

   追い討ちをかけるように、経済誌「FACTA」07年7月号は、「三菱東京UFJ銀行が常軌を逸した報道管制」の見出しで、首脳陣を除く記者の夜回り取材を受けた役職員を懲戒処分とする「御触れ」がまわったとし、「マスコミの顰蹙を買っている」と報じた。行内から旧UFJを追い落とそうという内部抗争の現われ、とみている。

   FACTAによると、三菱東京UFJ銀行は、本来であれば一刻も早く不祥事を根絶する体制を整えるべきなのに、行内に潜む「犯人さがし」に躍起になっているという。

   J-CASTニュースが取材したところ、三菱東京UFJ銀行はこう説明した。

「通常の取材では広報部を通すルールになっています。守秘義務がある情報の漏えいはもちろん、勝手に話したことが記事になった場合は相応の処分が課せられる場合があります」

   ただ、「特別な規定をつくったわけではありません。情報漏えいの観点から、これまで以上に情報管理を徹底しようということです」と話す。情報漏えいはこれまでも懲罰の対象で「夜回り取材に応じたからといって罰するわけではない」という。

   真相は藪の中だが、これだけ「事件」が起きるようだと、銀行合併をめぐる主導権争いが露呈、などといわれかねない。