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「しょうがない」は「九州弁」 久間氏のトンデモ弁明

   長崎への原爆投下を「しょうがない」と発言した久間防衛相が「失言」の責任を取って辞任した。しかし、この「しょうがない」発言について、久間氏は「九州弁で口癖」「九州だったらよくある」などと弁明した。実際には九州だからとりわけ「しょうがない」という言葉がよく使われるという事実はなく、辞任の弁明さえ「トンチンカン」なものだった。

「九州だったら、『しょうがないねぇ』っていうのはよくある」

久間氏の「しょうがない」発言は「九州弁」?(NHKより)
久間氏の「しょうがない」発言は「九州弁」?(NHKより)
「私の不用意な発言が安倍総理の姿勢にマイナスにならないようにと・・・すでにマイナスになったかもしれませんけど、私自身が身を引く決意をしたところであります」

   久間防衛相は2007年7月3日、6月末の講演の場で長崎への原爆投下について「しょうがない」と発言した責任を取って辞任。同日行われた記者会見でこのように述べた。しかし、この辞任会見でも、

「まぁ、過ぎたことは『しょうがない』にしても・・・また『しょうがない』って言った(笑)」

と「しょうがない」を繰り返したうえ、「九州弁で『しょうがない』というのはですね、まぁすぐ口癖で出るんですよ」と事情を説明した。会見前には、

「(『しょうがない」発言が)なかなか理解してもらえないというのがありましてね。私の口癖の『しょうがない』とか『まあいいや』という2つの言葉が・・・普段使っている言葉がねぇ。九州だったら、『しょうがないねぇ』っていうのはよくある事なんですね』

と度々「九州」を持ち出して「しょうがない」発言の弁明を繰り返した。

   しかし、久間氏の地元長崎でも、「しょうがない」とは受け止められていない。長崎市議会は07年7月2日、久間氏の発言を「到底容認できるものではない」と「しょうがない」発言の撤回を求める意見書を久間氏に提出。田上富久・長崎市長も7月3日に久間氏と面会し、「しょうがない」発言について抗議したほか、長崎に原爆が投下された8月9日の式典への参加を控えるよう要請した。

九州の人を敵に回すような発言

   関係者によれば、この面会の場でも久間氏は「『しょうがない』というのは口をついてでちゃうんだよな」と弁明したという。

   長崎市平和推進室はJ-CASTニュースの取材に対し、

「九州で多用されるということはないと思う。東京だって言うでしょ?(「しょうがない」発言は)ご本人の問題で、九州弁云々かんぬんという問題ではない。『不適切』な発言で弁解の余地はない。久間さんは現状追認の考え方の持ち主で、それ(『しょうがない』)で納得させよう、ということだったのでは」

と答える。
   もちろん、「しょうがない」は長崎ばかりではなく、「広辞苑」などの辞書にも記載されている全国で使用されている言葉。方言を研究する九州の大学教授も「九州弁とは言いがたい」と首をかしげ、07年7月4日付け朝日新聞では、「九州で『しょうがない』が多用されるとは聞いたことがない。個人的な口癖かもしれないが、方言が理由にはなりえない」との島根大・田籠博教授のコメントを紹介している。

   また、長崎市の被爆者団体の関係者は次のようにも語る。

「九州の人だからといってとりわけそんな言い方をするはずがない。自分の都合で言い訳をしているに過ぎないのでは。九州の人を敵に回すような発言でもある」