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パチンコ店大変身 ギャンブルから「時間つぶし」

   パチンコ業界では玉1個を1円で貸し出す「1円パチンコ店」が登場している。通常の貸し玉料は1玉4円だから単純計算で売り上げは4分の1になるわけで、「ぶっちゃけ、儲からないですよ」と話す業界関係者もいる。それなのになぜ「1円パチンコ店」が増えているのか。

玉1個を4円から1円にする

「玉川物産は」7月7日から「1円パチンコ」に参入する
「玉川物産は」7月7日から「1円パチンコ」に参入する

   石川県内にパチンコ店6店舗を出店している玉川物産は、2007年7月7日から県内の2店舗に「1円パチンコ」コーナーを設置する。4円で遊ぶ従来のゾーンと明確に仕切るが、遊べる機種は4円ゾーンと同じ最新機種。コーナーからの玉の持ち出しは厳禁で、景品と交換する場合は4円の玉の4倍の玉数で交換する。同社の営業担当者はJ-CASTニュースに対し、「1円パチンコ」コーナーを設置する理由をこう語った。

「業界が厳しい状況の今は(出玉を多くして利益を減らすような)体力勝負という時代でもない。安く、長く、楽しく遊べる(安長楽)要素を入れて、パチンコファンを拡大しなければいけない」

   パチンコ業界の現状は 「レジャー白書」によると、パチンコ参加人口は95年が2,900万人だったのに対し05年は1,710万人。この10年で約1,200万人減少した。 04年7月に施行された遊技規則によって、パチスロはギャンブル性が高く人気だった「4号機」が07年6月末で撤廃。7月からは「4号機」よりギャンブル性が低い「5号機」が設置されたが、パチスロファンが満足できないのではないか、と不安が出ている。それを打開する戦略として出てきたのが「1円パチンコ」。気軽に時間潰しができる、そんな雰囲気で、パチンコファンを増やそうとしているのだ。

「ぶっちゃけ、儲からないですよ」

   業界大手のダイナムと、マルハンも「1円パチンコ」に参入。ダイナムが参入したのは06年末で、現在は「1円パチンコ」を7店舗、「2円パチンコ」を2店舗展開している。同社は店舗全体でこの貸し玉料にしている。同社の企画広報課はJ-CASTニュースの取材に対し、

「これまでの大きなリターンを期待するのとは全く別のもの。ゲームセンターに近くなったといってもいいでしょう。だから、これまで来店いただけなかったような方が増えているんです。遊戯費が足りない方が来ている、というわけではありません」

と話した。マルハンは北海道に1店舗「1円パチンコ」のコーナーを設けている。

「コーナーを作ってから客数は増えているようです。気軽に手軽にパチンコで時間消費したいという方は確実にいます」(マルハン)。

とはいうものの、これまでの4円が1円になったわけだから、売り上げは単純計算で」4分の1になる。先の玉川物産は、

「ぶっちゃけ、儲からないですよ。でも、儲け主義だと客離れが進んでしまいますし、パチンコの楽しさを知ってもらういい機会として顧客の増加を期待しているわけです」

と話した。ダイナムも、

「成果が出ているとはまだ言える段階ではない。(1円パチンコ店が)認知され定着するまでは、多少の時間がかかると思う」

と話している。