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小沢代表のニコニコ動画書き込みストップで「炎上」騒ぎ

   民主党の小沢一郎代表が年金問題を語る動画が、ネット上の動画投稿サイト「ニコニコ動画」で配信され始めた。しかし、配信後まもなく動画へのコメント書き込み機能を「技術的問題」を理由に運営側が停止させた。「批判封じか」など批判が集中、一種の「炎上」状態となった。参院選公示を前に民主党は得したのか、損をしたのか、微妙なところだ。

   動画は4分弱。スーツ姿の小沢代表が、「国民の生活が第一(の政治)を実現する」などと主張する。途中、画面上に文字で年金に関する質問が何度か入り、質問に答える形で「年金制度を1つにまとめます」「年金以外に流用する制度は直ちに廃止します」などと訴えている。

24時間体制で監視し、誹謗中傷などは即時削除する

ニコニコ動画には、小沢代表の動画のほか、パロディー化した動画も流れた
ニコニコ動画には、小沢代表の動画のほか、パロディー化した動画も流れた

   配信が始まったのは、2007年7月9日9時20分過ぎだ。コメント書き込みもほどなく始まった。昼過ぎごろには、運営するニワンゴが書き込み機能を停止させた。それまでに数千の書き込みがあった。親会社のドワンゴ広告宣伝部によると、小沢代表の動画企画は、ドワンゴ側が働きかけて実現した。そして、自主的に24時間体制で監視し、誹謗中傷などは即時削除するという方針を決めたという。
   数千の書き込みの中に削除対象があったが、今回用に臨時で作成したコメントの削除ツールに不具合が生じたため削除できなくなったという。そのため事前の方針を満たすために書き込み機能を停止し、それまでのコメントも全て削除した、としている。コメント書き込み再開は未定という。もっとも、公職選挙法との関連で、再開されても公示前の7月11日23時59分までしか書き込みはできないそうだ。動画は7月10日以降も見ることができ、公示の12日以降も配信を続ける予定だ。
   ドワンゴ側は「荒らしは予想の範囲内」「賛否両論あるのはかまわない、と民主党側からはいっていただいていた」と説明する。

「年金問題や政治について考えてもらうきっかけになれば」

   利用者の反応は様々だ。小沢代表の動画を加工した「ミラー動画」と言われる画像が次々作られ、その画像のコメント欄に書き込みが寄せられる状況になった。ほかにも、関連のニコニコブックマーク(仮)2ちゃんねるにも波及した。

「コメントできない動画なんて置くな」
「ミラーも消してるのはおかしい」
「書き込めないのでここに来ました。怒ってます」

   などとドワンゴ側を批判するものから、

「お前らが年金とか語るな」
「売国党」

など小沢代表や民主党への批判も相次いだ。「ジョークだよ」「(民主党の)高感度アップだ」と茶化すコメントも少なくない。「これは酷い」「運営きらいなら見るなよ」と批判コメントへの不満の声もある。
   民主党はどう受け止めているのか。民主党本部広報委員会は、対応はドワンゴ側に任せているといい、コメント機能停止や削除は、事前に相談はなく事後報告だったという。元の動画内容へ批判が寄せられるのは織り込み済みだったという。「批判的なコメントを削除させたのでは」という指摘については「全くあり得ない」と否定した。コメント削除を巡り一騒動起きたことについては「マイナスもあるでしょうが、結果的に年金問題や政治について考えてもらうきっかけになれば、と考えている」そうだ。
   そもそも民主党だけの動画が流れる、という所に反発したり疑念を抱いた利用者もいた。ドワンゴ広報は各党へ打診した、としている。一方でニコニコ動画のサイト内ではドワンゴ側は

「残念ながら今回は他政党の政治家のかたとは交渉の窓口にも到達できませんでした」

と説明している。自民党本部関係者によると、広報担当者は不在で確認できないが「党本部の広報担当に依頼が来たのか、官邸サイドなのか首相個人事務所なのか、それとも党本部の受付段階で断られたのか、詳細が分からないと何とも言えない」と困惑顔だった。