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ヤフーが「きざし」出資 「単独での成長」方向転換?

   ヤフーと、ブログなどの書き込み内容を分析するサービスを提供する「きざしカンパニー」は2007年7月19日、資本・業務提携を行う、と発表した。ヤフーは言わずと知れた「ネット界の巨人」で、一方の「きざし」は07年1月に設立されたばかりの「新顔」。ヤフーが起業間もない会社と資本提携するのは異例だ。狙いは何なのか。

「単独での成長が描きにくくなっている」と日経

ヤフーは「kizasi.jp」を運営する「きざしカンパニー」に出資
ヤフーは「kizasi.jp」を運営する「きざしカンパニー」に出資

   「きざし」は、ブログに出てくるキーワードの出現数の増減などを把握し、「今、ブログでホットな話題」を一覧表示するウェブサイト「kizasi.jp」などを運営しており、ブロガーの間でも注目度が高まっている会社だ。
   今回の提携では、(1)きざしが、ヤフーの共同広告配信サービス「ADネットワーク(すでに21社が参加)」に参加(2)きざしの有料サービスでヤフーのオンライン決済機能やID(Yahoo! Japan ID)を使えるようにする、という2点が柱。さらに、ヤフーは「きざし」が7月25日に行う第3者増資の一部を引き受ける。出資比率は5%だ。

   これまでは「純粋培養」「コンテンツの囲い込み」という印象の強かったヤフーだが、今回の提携では一転、「相互乗り入れ」が行われる形だ。この経緯を、日本経済新聞では

「(ヤフーは)単独での成長が描きにくくなり、他者との連携を積極化している」

と評している。

   この見方はあながち外れていないようで、ヤフー自身も企業向け説明会で、

「まだヤフーを使っていただけていないお客様が多くいる」

とし、自社サイト自体を活性化した上で、パートナーのサイトを通じて利用時間を拡大したい意向を明らかにしている。

自社サイト中心から外部に開放を進めていく

   具体的には、(1)一方通行から利用者の書き込みを巻き込んだメディアへ(2)PCだけでなく、ケータイ・テレビなど、どこからでもアクセスできるように(3)自社サイト中心から外部に開放を進めていく、という大きく3つの方針が示されたが、今回の提携は(3)の一環と見られる。資料には「Win & Win のモデル構築」という文字も踊っており、これが今回の方針転換を端的に表しているようにも読める。

   ヤフー広報室でも

「現状の自社サイトでも収益をあげられるところでは上げていきますが、他社を組んでさらに広げていきたい、ということです。Yahoo! Japan IDのシステムや決済機能を外部にも開放し、シナジー効果を期待したいです」

と話しており、「自社サイトだけでは頭打ち」という日経記事の立ち位置とは異なっているものの、「外部開放でさらなる伸びを目指す」という点では一致しているようだ。