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美容外科、「包茎治療」も専門だった 朝青龍「神経衰弱」診断の医師

   日本相撲協会から謹慎などの処分を受けた横綱・朝青龍(26)に対し、「神経衰弱状態及び抑うつ状態」という診断が2007年8月5日、精神科医によって下された。この診断に対し、「神経衰弱は戦前の病名だ」、という「物言い」が一部でついた。さらに、この精神科医は東京・六本木でクリニックを開業、精神科のほかに「包茎治療」も専門とするようだ。

美容外科や形成外科のクリニックに勤務したことがある

朝青龍の「診断」を大きく伝えるスポーツ紙各紙
朝青龍の「診断」を大きく伝えるスポーツ紙各紙

   朝青龍は07年8月5日、東京都内の自宅で「神経衰弱状態及び抑うつ状態」との医師の診断を受けた。毎日新聞朝刊(8月6日付け)によると、医師は、「精神科医」「知人を通じて往診を依頼された東京都内の開業医、本田昌毅医師」で、「うつ病の一歩手前」「本人が望む最良の環境で休養するのが一番」などと説明した、という。

   診断を出した本田医師について、多くの新聞は「精神科医」と報じているが、産経新聞朝刊(8月6日)は「精神科医、産業医、美容外科医である本田六本木クリニックの(略)総院長」と報じている。

   本田六本木クリニックのホームページを見ると、ホンダメンタルクリニックと「男の男による男の為の包茎専門クリニック」(ホンダヒルズタワークリニック)、「リバウンドのない脂肪融解注射でボディデザイン」(ホンダヒルズガーデンクリニック)と3つのクリニックの紹介が出てきて、その画面上部に「本田六本木クリニック総院長 本田昌毅」とあった。「1970年生まれ」だそうだ。

   HPのプロフィール欄には、精神科医(企業メンタルマネージメント専門)の項目で厚生労働省指定の「精神保健指定医」であると明記している。また、美容外科(精神外科)という項目で、過去の美容外科や形成外科のクリニックに勤務したことなどに触れている。著書もあり、「『うつ』の夜明け 精神科医からあなたへ」(文芸社)と紹介している。
   ヒルズタワークリニックのプロフィール欄には、「最高顧問医」とあり、「大手形成外科クリニック(包茎治療専門)勤務(技術指導医)」などの経歴が書いている。

「『神経衰弱』は戦前の病気」

   読売新聞の8月6日付け朝刊(東京最終版)は「朝青龍は『神経衰弱』」、同じく産経新聞も「朝青龍は『神経衰弱』」の見だしだった。毎日新聞は「朝青龍 うつ病一歩手前」で、朝日新聞は8月5日のネット版で「朝青龍、『うつ病になる一歩手前の状態』と精神科医」だった。

   本田医師の診断に噛み付いたのは、スポーツ報知(8月6日付け)だ。診断内容などを伝える面とは別のページで、「『神経衰弱』は戦前の病気」「朝青龍診断に物言い」と見出しをつけて報じた。記事は、「世田谷井上病院の井上毅一理事長」の話として、明治時代の文豪、夏目漱石が「かかったことで有名な、戦前の病名」と指摘している。さらに「米国の診断基準からもすでに消えている『亡霊』のごとき病名(略)」とも触れている。記事では「(診断について)医学者から異論が出た」とまとめている。

   「神経衰弱」は今は使わない言葉なのだろうか。東海大学医学部の保坂隆教授(精神医学)にJ-CASTニュースが質問すると、「米国の診断基準としては使われなくなり、日本でもあまり使わない言葉になっている」と解説した。一方で「精神的な病名そのものをはっきり言わないために、あえてぼかした表現をするために使うことはあり得る」とも話した。使われなくなった理由については、「診断基準の研究が進み、使われなくなった」という。教授は、自殺者が多い現状を分析する厚生労働省の研究班の主任研究者を務めるなどしている。

   朝青龍の病状について、ヒルズタワークリニックの六本木院に本田医師への取材依頼をしたが、「用件は本人に伝えたが、忙しそうだった」とのことだった。本田六本木クリニックの電話番号にもかけ、留守番電話に取材依頼を吹き込んだが、8月6日19時30分現在、返答はない。