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GT-R、海外の愛称は「ゴジラ」 「技術の日産」取り戻せるか

   日産が5年ぶりに「GT-R」の称号を冠して2007年12月6日に売り出す「NISSAN GT-R」。「スカイライン」の名を使わなかったのは、海外市場を意識したこともある。そのGT-Rが、海外ではなんと「ゴジラ(Godzilla)」の愛称で呼ばれている。しかも、初の「上陸」になるだけに、関心も集まっているようだ。

アウトバーンでも300キロで安定して走る

日産から発表された「NISSAN GT-R」
日産から発表された「NISSAN GT-R」

   往年の名車、スカイラインGT-Rは、スポーツカー市場の縮小や排ガス規制の強化に伴って、2002年を最後にその姿を消した。しかし、日産のカルロス・ゴーン社長はその1年前に復活を明言し、05年にプロトタイプが発表された。そして、2007年10月24日、ようやくその全貌が明らかにされた。

   復活したGT-Rは、スカイラインシリーズから切り離され、まったく別のコンセプトで開発された。それが、新次元の「スーパーカー」というものだ。なにやら懐かしい響きがあるが、どんな意味があるのか。

   「スカイラインシリーズは、走りを追及する『スポーツカー』との位置づけでした。今回のGT-Rは、スポーティーなだけでなく、街中で30~40キロの速さでも快適に走行できます。その意味で、超越している、つまりスーパーということです」

   日産広報部の担当者は、J-CASTニュースの取材にこう答えた。つまり、従来のスーパーカーともコンセプトが違うということだ。

   スペックを見ると、従来のGT-Rより排気量が1.2Lも増えて3.8Lに。エンジンは、ツインターボ仕様は同じだが、直6からV6に変更されている。さらに驚くべきは、出力だ。なんと200PSも上がって480PSという強大なパワーになっている。ところが、燃費は従来とほぼ同じ8.2キロ。燃費はそのままにパフォーマンスが大幅にアップしているのだ。価格は、777~834万円になる。

「日産の技術力、ものづくりの力を象徴する位置づけが、GT-Rです。日産のブランドを代表する車として、そのことを理解してもらうことに狙いがあります」

と広報部担当者は説明する。そして、この担当者は、次のようにも明かした。

「海外市場で売り出して、NISSANブランドを世界にアピールする狙いもあります。従来のGT-Rは一部限定車を欧州で売り出しただけですが、今回初めて海外で本格的に売り出します」

   新しいGT-Rは、ドイツなどのアウトバーンでも300キロで安定して走ることができるという。米国では、08年6月ごろに発表・発売、それ以外の国では08年度内に発売する予定としている。

なぜゴジラと呼ばれるようになったか分からない

   それでは、海外での反応はどうなのか。GT-Rの発表は、東京モーターショーで行われただけだが、J-CASTニュースが調べると、いくつかの海外サイトがGT-Rの話題を取り上げていた。そして、その見出しでは、GT-Rを「ゴジラ」の愛称で呼んでいるケースが多いのだ。

   例えば、車を紹介している英語のブログ「Automotive Blogs」では、9月25日付の日記で、「ゴジラがやって来る」としてGT-Rを取り上げた。06年に、ドイツのニュルブルクリンクのサーキットで、ポルシェ911ターボよりも早いタイムをたたき出したことなどが紹介されている。また、別の英語サイト「Cars Guide」では、6月5日、「ゴジラ復活」と題して、GT-Rがオーストラリアで発売されれば、多くの関心を呼ぶだろうと述べられていた。

   こうしたことを日産広報部に当てると

「そうなんですか。パフォーマンスのよさから、GT-Rの名は海外でも知れ渡っていましたからね。われわれがゴジラと呼んでいるわけではないので、なぜ、いつからそう呼ばれるようになったのかは分かりません。確かに、そういう話は聞いたことがありますが」

とのことだった。

   もちろん、好意的な意見ばかりではない。ユーチューブに投稿されたテスト走行動画などのコメントを読むと、「ポルシェの方がずっといいよ」「カネ持ってる年寄りしか買えない」などの厳しい意見もあった。

   最近の日産は、ゴーン改革に陰りが指摘され、内外での販売が伸び悩んでいる面もある。海外にも、「技術の日産」をアピールするべく生まれ変わったGT-R。ニューヨークを始め世界各都市を破壊した映画のゴジラのように、旋風を巻き起こせるだろうか。