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興毅謝罪会見のテレ朝リポーター 「不愉快」とネットで批判

   亀田家を代表して謝罪会見した興毅さん(20)に対するテレビリポーターの質問攻撃が、「不愉快」とネットで批判の的になっている。会見に出なかった父親の史郎さん(42)のことで息子を追及する態度には、キャスターからも「警察の事情聴取のよう」と不評を買ったほどだ。かえって亀田家に同情を誘う皮肉な結果になっている。

反則指示を認め、亀田家を代表して謝罪

リポーターから厳しい詰問を受け、返答に困った様子の亀田興毅さん(日本テレビから)
リポーターから厳しい詰問を受け、返答に困った様子の亀田興毅さん(日本テレビから)

   記者会見の会場となった東京・新宿の協栄ボクシングジムは、2007年10月26日朝の会見前から記者やリポーターが集結し、異様な雰囲気に包まれた。午前9時からの予定だったが、興毅さんが渋滞に巻き込まれて遅れたため、協栄ジムの金平桂一郎会長(41)がまず1人で会見を始めた。そこで、金平会長は、亀田家への処分の内容を発表。その途中の9時6分に、興毅さんが会場入りした。

   現れた興毅さんは、なんと丸刈り姿。立ったままで、「遅れて申し訳ありませんでした」と深々と頭を下げた。そして、眉間にしわを寄せ、苦渋の表情を浮かべながら、「まず内藤選手にお詫びしたいです。ほんまに、申し訳ございませんでした。自分を含め、大毅とオヤジの言動など、今までいろいろと深く反省しています」と謝罪の弁を述べた。セコンドとして自らの反則指示も認めた。過激な言動があった当時とは、まるで別人になっていた。

   興毅さんは「亀田家代表」として謝罪会見を開き、父親の史郎さんは姿を見せなかった。これに対し、ワイドショーのリポーターからは、次々に質問が浴びせられた。

   口火を切ったのが、テレビ朝日の男性リポーター。「お父さんの史郎さんが会見場に来られないのは、どういう理由でしょうか」。興毅さんは、言葉を噛み締めるように丁寧に受け答えした。しかし、リポーターの質問は、さらにヒートアップした。

   詰問調の質問が相次いだが、特に厳しかったのがテレビ朝日のリポーターだ。

「反省しているということは、(史郎さんが)反則を指示したということですか。そこが大事なんですよ。世界タイトル戦ですよ。反省したということでは済まない。その点を明らかにしてもらわないと次の試合はないのではないですか」
「本当のことを素直に言うことが一番大切なのですよ。もしよくないことをしたとしたら、きれいに謝られたらどうですか」
「お父さんは、以前こういうことを言っているんですよ。謝ったら負け。ここでも勝ち負けを基準にしているのですか。きちっと話さないといけないと思いますよ」

   こうした問答は延々と続いた。

「もはやイジメの域に達してるぜ…」

   答えにくい父親のことまで詰問され、興毅さんは遠目がちにしばらく沈黙する場面が多かった。代わって、金平会長が「史郎氏は『この会見には出ない。出ない代わりに、私はボクシング界から身を引く。その代わり、興毅と大毅をよろしく頼む』と言われました」と援護。史郎さんが会見に出ないことを執拗に攻め立てるリポーターには、「出ない人間を子どもではないので連れて来られない」と色をなして反論した。

   興毅さんもよほど悔しくなったのか、「世間では悪く思われてるけど、俺らの中では世界一のオヤジと思ってるから」と涙声になった。

   こうしたリポーターの質問攻撃には、ネットで異論が相次いだ。2ちゃんねるには会見後、「亀田に質問してるレポーターのほうが不愉快」などと糾弾するスレッドがいくつも立った。「鋭く追及してた」などの感想もあったが、

「レポーターは何か勘違いをしてるようだな。 レポーターは罪を認めさせる為の人じゃないし、国民の代表でもない」「もはやイジメの域に達してるぜ…」

など、批判の声が多かった。

   リポーターの質問ぶりは、皮肉にもワイドショーの中で話題になった。フジテレビの「とくダネ!」キャスターの小倉智昭さんが、

「警察の事情聴取みたいで、後味がいいものではなかった」

とこぼしたのだ。マスコミ自身によるマスコミ批判とも取れるコメントだった。

   数々の批判や苦言に、テレビ局やリポーターはどう答えるのか。テレビ朝日広報部にJ-CASTニュースが取材すると、「この件に限らず、視聴者のご意見やご要望につきましては、真摯に受け止めて、今後の放送に生かしていきたいと思います」。紋切り型の回答が返ってきた。そこで、今度は、リポーターの所属事務所に聞いてみると、慣れない「逆取材」に当惑した様子。取材窓口の担当者は、「申し訳ありませんが、リポーターは地方へ取材に出ていてすぐに質問に答えられません」と恐縮していた。

   大の大人が「マルコメ君」のような二十歳の青年を詰問したことは、逆に亀田家に同情を誘うことにもなった。2ちゃんねるでは会見後に、「こうなると亀田にも同情してしまうな」「もう亀田興毅を許してやれよ」といったスレッドが次々に立てられていた。

   亀田サイドは、こうした風向きの変化をどう受け止めているのか。

   史郎さんが社長を務める「亀田プロモーション」に聞いてみると、マネージャーは、詰問したリポーターに対しては、「皆さんのご意見なので、特別にこちらから言うことは何もありません。質問には、丁寧にお答えさせていただきました」。同情論については、「応援の声があれば、その通りに受け止めます。ありがとうございます、これからもよろしくお願いします、ということです」とあくまでも低姿勢だった。

   なお、協栄ジムの金平会長は記者会見で、史郎さんについては、トレーナーからの解雇を考えていたが、本人から辞職の申し出を受けてこれを受理したことを明らかにした。大毅さんは、精神的に追い込まれ家に閉じこもっていることから、面会でき次第、厳重注意することにし、練習再開前に謝罪会見を開かせると言明。また、興毅さんには、今後3か月間、試合の出場を自粛させるとした。