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「盗撮」されたTBS久保田アナ 犯人「建造物侵入」立件に激怒

   TBSの久保田智子アナウンサー(30)が社内で盗撮被害に遭った事件で、アナ本人が盗撮事件について赤裸々に告白していた。盗撮の状況から盗撮犯の逮捕劇まで及び、さらに怒りの矛先は盗撮犯が「建造物侵入」でしか立件されなかったことにまで向き、かなりご立腹の様子だ。

「天井を見上げると仕切りの上から携帯電話が!」

TBSの久保田智子アナが「盗撮事件」について語った
TBSの久保田智子アナが「盗撮事件」について語った

   事件は、TBSの情報番組「みのもんたの朝ズバッ!」のスタッフで、同局関連の制作会社の男性社員が局内の女性トイレに侵入し、久保田アナを盗撮しようとしたとして、建造物侵入容疑で警視庁赤坂署に逮捕されたというもの。
   この事件をスクープした週刊文春(07年10月25日号)によれば、この男性社員は『朝ズバッ!』のスポーツ担当をしていたが、盗撮の「常習犯」で、TBSや他局で盗撮していたという。

   事件の被害者である久保田アナが事件後はじめて口を開いた。
   事件は、ボクシングの亀田大毅選手の世界戦が行われた07年10月11日の3日前のことだった。

「その日もいつもと同じトイレに入った私は、なぜか天井を見上げたのでした。すると仕切りの上から携帯電話がこちらを狙っていたのです」

   こんな書き出しで始まるのは2007年10月27日の日刊ゲンダイのコラム「人気女子アナ 現場からの報告」。久保田アナはこのコラムの中で盗撮被害に遭った様子を詳しく語っている。このコラムによれば、盗撮犯は「背の高い大男」で、久保田アナはこの男を発見するや、「何やってんの!出てきなさい!」と隣のトイレの戸を叩いて叫んだという。その後、携帯電話を引っ張り合い、トイレの外に連れ出して助けを求めたということらしい。

   このコラムとほぼ同じ内容の文章は、同日の久保田アナのブログ「久保田智子の日日猫」にも掲載された。こちらでは、「盗撮事件」の状況についての言及はあまりなく、主に"盗撮行為"自体が法律で裁かれないことへの憤りが綴られている。

「あの事件以降は、盗撮という恐怖に怯えるというよりも、犯人を捕まえたという恍惚感に浸るようにしています。おかげで、冷静に様々な問題点を分析できるようになってきました。一つは、法律の不備です」

盗撮に「迷惑防止条例」は適用されず

   久保田アナによれば、盗撮行為自体が法律で裁かれると思っていたが、今回の「盗撮事件」では、犯人は「建造物侵入」の罪状で立件された。通常、盗撮行為については「迷惑防止条例」が適用される。しかし、盗撮が行われたのがTBSの会社内で、会社が許可した人間による犯行のため「公共の場」とはいいづらく、「迷惑防止条例」では立件されなかったというのである。

「それでも、会社とは不特定多数の人が出入りする場所で、いちいちその人の性癖まで会社がチェックするなんて到底無理なわけで、今回のようなケースを会社の管理不行届きといえるでしょうか。(中略)『駅や電車』と『会社』という場所の違いで、同じ行為の罪の重さが変わっていいのでしょうか。どうやら法律は遅れているようです」

   久保田アナは、このように「盗撮行為」自体が罰せられないことに相当な憤りを覚えているようで、トイレに掛けて「法整備をすすめるためにも、私は声を大にしていいます。『盗撮は犯罪で、断じて水には流せません』」と述べている。

   こうした久保田アナが述べる「法律の不備」はもっともな意見のようだ。盗撮問題に取り組んでいる平松総合調査事務所の平松直哉さんもJ-CASTニュースに対し、同様の問題を指摘している。

「盗撮を取り締まるのは、軽犯罪法で『ひそかにのぞき見た』と定められているものと各都道府県の迷惑防止条例だけで、どれも現在の状況に対応している法律ではない。今回の盗撮事件は、建造物侵入の罪状の方が罪状を取りやすく罪が重いと判断して(警察側が)適用したのでしょう。ただ、盗撮行為に対する罰則という点で、現状の規制では対応できていないと思います」

   刑法では、建造物侵入罪は3年以下の懲役又は10万円以下の罰金が課される重い罪。しかし、盗撮の被害者にとってみれば「盗撮行為」自体が罰せられないのもおかしな話といえばおかしな話だ。