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「炎上」情報共有サイト 運営会社が真っ先に「炎上」

   ブログやホームページに誹謗中傷などのコメントが殺到して「大荒れ」になる「炎上」現象。この「炎上」情報を共有するサイトとしてオープンした「炎ジョイ」のサーバーが停止されたことが分かった。サイトの運営会社スパイダーネットワークスによれば、「炎上をどうすれば防げるのか」を企図して開設したというが、どう見ても「炎上」を煽るような内容だけに、ネット上では大きな批判や怒りも生みだし、自分のサイトが真っ先に「炎上」してしまうという皮肉な結果となった。

「無責任に炎上助長すんな」といったカキコミ

「炎上」情報共有サイトがサーバを停止、謝罪した
「炎上」情報共有サイトがサーバを停止、謝罪した

   スパイダーネットワークスは2007年11月20日、「炎上」の情報を共有するサイト「炎ジョイ」(β版)を開設した。「炎上」した状態のブログやホームページをブックマークして共有できるほか、共有した「炎上サイト」にレイヤー(画像を重ねて表示するもの)を貼って、そのレイヤー上にニワンゴが運営する動画共有サイト「ニコニコ動画」風にコメントを書き込めるというもの。

   「炎ジョイ」には、

「炎上サイトの上にレイヤーを張って、コッソリ罵声!シャイなあなたも楽しめる!」
「飽き足りなかったら直接爆撃」
「レイヤー上で暴れて欲求不満や切なくなったら、勝手に直接爆撃に移行可能」

   という説明文が掲げられ、「炎上」を扇動しかねない内容になっている。開設後には、実際に個人ブログなども「さらし者」にされるなどしたため、「いじめじゃないか」「最低なサイトだな」といった批判の声が上がり始めた。そして、真っ先に「炎上」したのは、ほかならぬ「炎ジョイ」に設置された掲示板とこのサイトの開発者ブログだった。

   掲示板には、2007年11月22日夕方までに合計1000件以上、開発者ブログには500件以上の書き込みが寄せられ、そのほとんどは、「自分のところが炎上してどうすんだよ」「いじめ助長サイトと言っても過言ではないですよ」「無責任に炎上助長すんな」といった批判や罵詈雑言だった。

   運営会社スパイダーネットワークスは、11月22日午後1時半頃に同サイトのサーバーを停止。「炎上ブログ」の登録や閲覧ができなくなった。

   同社の田浦隆也社長はJ-CASTニュースの取材に対し、ユーザーの殺到やサーバーへの攻撃などにより、「サーバーが重くなり、管理画面による運営が事実上できなくなった」と話す。しかし、そもそも「炎上」を扇動するかのようなサイトを開設した意図は何なのか。返ってきた答えは意外なものだった。

「レイヤーを使うことで、『炎上』が好きな人の『ガス抜き』になり、(当のブログの)『炎上』が止められるのではないかということで『炎ジョイ』を企画しました」

トップページで謝罪文を掲載

   田浦社長によれば、「炎上」という現象が起こる際に、本当に悪意や憎悪の感情を持って書き込んでいる人は実は少なく、単に騒ぎに便乗してネガティブなコメントを書き込む人の方が多いのではないかという仮説をたて、「炎ジョイ」を企画。「炎ジョイ」(β版)で実験的に「炎上」の実態を掴み、個人ブログなど問題のある登録については削除するつもりだったという。しかし、実験的な試みを前面に打ち出しても「炎上が好きな人」は集まらないということで、「炎上」現象を扇動するような内容で「炎ジョイ」を開設したらしい。当初はユーザーの数もそれほど多くないと踏んで、サーバーも1台しか対応していなかった。

   それが、「炎上」を助長するようなサイトとして話題になり、複数のメディアも取り上げたことからユーザー数も急増。2007年11月21日午後4時~22日午前11時までの19時間で、約90万ページビューを記録、ユニークユーザー数も約14万人に上った。実際、「炎ジョイ」のレイヤーで書き込んでいる人のうち、実際に当のブログやホームページに書き込む人はわずか2%。レイヤーへの書き込みが「ガス抜き」になることが実証されたというわけだ。

   しかし、想定外のユーザー数の急増で個人サイトの登録の削除作業が追いつかず、サーバーが重くなって管理もままならなくなって、同社はサーバー停止に追い込まれた。

「想定以上のユーザーに見られてしまい、あらぬ誤解を与えてしまったことは申し訳ないと思っています。一般サイトが登録されてしまったことについても大変申し訳なく思っています」

   田浦社長はこの様に謝罪する。すでに「炎ジョイ」(β版)に謝罪文を掲載。近くサーバーを増強したうえ削除機能も強化した「炎ジョイ」(α版)が開設され、そのトップページでも謝罪文を掲載するという。