J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

佐世保銃乱射事件 「ストーカー犯罪」なのか

   長崎県佐世保市で起こった散弾銃乱射事件で、自殺した容疑者の犯行動機が明らかになりつつある。各紙が現地の関係者の声として「10月以降、異様な浮かれようだった」「好きな女性が出来たとしか思えない」との声を紹介、被害者に一方的な好意を抱いた容疑者が逆上して犯行に至ったのではないかとの見方が強まっている。一種の「ストーカー犯罪」と断じる新聞も出てきている。

舞衣さんへの一方的な感情が事件の背景にある

各紙では「ストーカー犯罪説」を唱え始めている
各紙では「ストーカー犯罪説」を唱え始めている

   事件は2007年12月14日夜、佐世保市のスポーツクラブ「ルネサンス佐世保」で発生。馬込政義容疑者(37)が散弾銃を発砲、同スポーツクラブ勤務の水泳インストラクター、倉本舞衣さん(26)と漁業、藤本勇司さん(36)が被弾し死亡、それ以外にも6人が負傷した。馬込容疑者は翌12月15日、事件現場から約5キロ離れたカトリック教会の敷地内で死亡しているのを発見された。散弾銃による自殺と見られている。

   このように、容疑者本人の口から犯行動機が語られることはなくなってしまったが、事件から3~4日が経過した今になって、関係者の口から、その動機を示唆する容疑者の行動が明らかにされつつある。

   早い段階で、これに言及したのが「夕刊フジ」で、07年12月17日、「被害女性に失恋し暴走?」という見出しで、馬込容疑者が、10月頃から倉本さんが勤務していたスポーツクラブに頻繁に通うようになったことを指摘。その上で、近隣住民の声として

「(馬込容疑者は)それまではボサボサの長髪で目つきも悪く、いつもムスッとしとったのに、10月ごろから顔色が良うなって、いつもニコニコ髪もキレイにセットして、こざっぱりとして格好で、毎日のようにピカピカの新車で(スポーツクラブへ)出かけていきよった」

   さらに、別の地元有力者の声として

「あんなに豹変したのやから、やっぱり好きな女ができたとしか思えんかったね」

との声を紹介し、倉本さんへの一方的な感情が事件の背景にあるのではないかとの見方を示した。

ストーカーまがいの行動をしていた?

   翌12月18日の毎日新聞朝刊でも、同様の見方をしており、倉本さんと馬込容疑者は面識があったとした上で

「倉本さんが、別の男性を歩いているところに馬込容疑者が不意に現れるなど、ストーカーまがいの行動をしていたこともわかった」

と報じている。さらに、同日夕刊の段階になると、読売新聞も「ストーカー説」を報じており、毎日新聞は、倉本さんのことを「(馬込容疑者が)一方的に好意を寄せていたクラブの水泳コーチ」と表現。馬込容疑者が倉本さんに抱いていた感情を「断定」している。

   さらに、共同通信が同日午後に佐世保署捜査本部の話として報じたところによると、3日前、倉本さんの交際相手の男性が事件の3日前、馬込容疑者に「どこに住んでいるのか」などとしつこく話しかけられていたという。この男性は馬込容疑者とは面識がなかったといい、これをきっかけに、さらに倉本さんに対する感情を募らせた可能性もありそうだ。

   一方で、各紙とも、馬込容疑者が犯行現場となったスポーツクラブに複数の同級生を誘っていた、とも報じており、「同級生らを巻き込んだ大量殺人説」も浮上している。

   捜査当局では、さらにスポーツクラブのスタッフなどに事情を聴く方針だという。