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看板倒れ「ドラマのTBS」 視聴率低迷に社長「憂鬱だ」

   TBSが視聴率低迷にあえいでいる。テレビの週間視聴率では、ベスト30に2番組しかなく、看板のドラマは平均視聴率が1ケタ台に落ち込むほどだ。TBSは最近、不二家報道、亀田問題など不祥事続きだが、一体どうしたのか。

ベスト30にわずか2番組の惨敗

TBSのドラマ「ハタチの恋人」の公式サイト
TBSのドラマ「ハタチの恋人」の公式サイト
「視聴率が落ちた理由ですか?それはうちがコメントするようなことではなく、厳しいですねと言うしかありません」

   TBS広報部の担当者がこう話すように、最近の視聴率低迷は激しい。2007年12月18日付の日刊スポーツに掲載された12月10~16日のテレビ週間視聴率では、ベスト30に入ったTBSの番組は、バラエティーの「ぴったんこカン・カン」と「関口宏の東京フレンドパークII」のみ。しかも、TBSが強いとされるドラマは一つも入っていない。

   スポーツ報知の12月6日付記事によると、07年10月にスタートした秋ドラマの視聴率は、仲間由紀恵さん(28)と泉ピン子さん(60)出演の「ジョシデカ!」(木曜午後10時)が平均9.8%、長瀬智也さん(29)と相武紗季さん(22)の「歌姫」(金曜日午後10時)が同8.2%、明石家さんまさん(52)と長澤まさみさん(20)の「ハタチの恋人」(日曜日午後9時)が同8.4%。視聴率女王の異名まで持つ仲間さんら豪華キャストをそろえながら、いずれも1ケタを割り込む低迷ぶりとなっている。

   これには、TBSの井上弘社長が、12月5日の定例会見で、「今クールは早く終わってくれないかなと思っている。視聴率表を見るのが憂鬱」と嘆いた。

   TBSに何が起こったのか。放送評論家の松尾羊一さんは、会社の姿勢に問題があるとみる。

「TBSの場合、社風、カルチャーが、世間や社会の動きとずれているんじゃないですか。亀田問題などで、視聴者の信用を落としたことが大きい。試合の前に1時間も前の試合を流し、視聴者をイライラさせるなど、考えられない演出が多いですね。みのもんたといったパーソナリティーに依拠しすぎたことも、視聴者をイヤにさせた原因でしょう」

「20年前のハリウッドドラマ」

   看板のドラマについても、手厳しい。未だに「ドラマのTBS」と言われた時代のホームドラマ風の演出にこだわっているとして、次のように指摘した。

   「さんまとまさみのドラマも、脚本がまったく弱いですね。今どき年の差が離れたギャップの面白さなどという設定は、20年前のハリウッドドラマですよ。若い女性は、設定をばかにして、ストーリーについていっていません。さんまも、ドラマでなくバラエティーになっています」

   ネットでも、TBSのドラマには不評の声が多い。ミクシィの日記やコメントでは、16日に最終回を迎えた「ハタチの恋人」への失望感が語られていた。

「確かにさんまが長澤まさみと共演したい、っていうのが実現したドラマですね これはTBS、さんま、長澤まさみにとって汚点ですね…」「あのラストは何なんだ、と思わざるを得ないと激しく主張したい今日この頃であります。何と言いますか、この消化不良感というかなんというか。微妙なのは視聴率だけじゃなくてラストもか!と( ´_ゝ`)」

   一方、ライバルのフジテレビは、好調な視聴率を維持している。前出の週間視聴率では、30位以内になんと16番組もランクインしているのだ。ドラマは、福山雅治さん(38)と柴咲コウさん(26)出演の「ガリレオ」(月曜日午後9時)が、2位に食い込むなど4番組が30位以内だ。

   これに対して、TBSは、次のクールなどで挽回を期しているようだ。08年1月からのドラマでは、稲垣吾郎さん(33)と小雪さん(30)が出演する「佐々木夫妻の仁義なき戦い」(日曜日午後9時)など、また豪華キャストを配したドラマを連発する。さらに、同4月からは、土曜日の午後8時に、新しくネット利用の視聴者参加型ドラマを企画している。

   TBSの試みはうまくいくのか。放送評論家の松尾さんは、こうみる。

「見てみないとわかりませんが、食指が動くようなラインアップじゃないですね。視聴者参加型のドラマですか?そういうのはダメなんです。ドラマは夢を売るのであり、手元に届かない存在であるからいいんですね。『2人をハッピーエンドに』『恋敵の三角関係を』との声を聞いて作ると、夢がなくなっちゃうんですよ」